補助金を不正受給した疑惑が浮上し、国から委託契約を解除された「宍粟市雇用創生協議会(兵庫県)」の事務局長で、宍粟市から起業家支援の補助金100万円をだまし取ったとして、詐欺罪に問われた元神戸市議(60)の初公判が9日、神戸地裁姫路支部で開かれ、検察側は懲役2年を求刑して即日結審した。判決は2月25日。

開廷前の神戸地裁姫路支部・法廷〈※代表撮影 2021年2月9日〉

 元市議は2017年4月、紙幣の原料となる植物「ミツマタ」の栽培で新たな雇用を創出するため、その加工所を宍粟市波賀町内の住宅を拠点として起業。起業家支援制度の利用を申請し、一般社団法人「ミツマタの郷」を設立した。

 起訴状によると、元市議は「ミツマタの郷」で代表理事を務めていた2017年6月、宍粟市波賀町にある法人事務所を修理したとする虚偽の申請書などを市に提出、起業家向け補助金100万円を詐取したとされる。

神戸地裁姫路支部
神戸地裁姫路支部

 初公判で元市議は「間違いありません」と起訴内容を認め、「地域産業の活性化を目指すミツマタの栽培事業に感銘を受けた。100万円をだまし取ったのはこの事業を運営するための資金を確保するためだった。資金繰りが厳しかった。関係者からの協力を得ながら事業を進める中、このようなことをしてしまい申し訳ない」と謝罪した。そして「情熱を持って活動してきたミツマタの栽培事業をやり遂げるために、今後、宍粟市とも信頼関係を取り戻したい」と述べた。

 検察側は「補助金制度の運用を阻害し、巧妙で悪質な犯行。模倣犯を生みだしかねない」などとして懲役2年を求刑、弁護側は全額被害弁償した点などを踏まえ、猶予刑にとどめるべきと主張、即日結審した。

 宍粟市雇用創生協議会をめぐっては、2018年12月の発足以来、国の委託を受けて約80回ものセミナーを開いたなどとしていたが、その実態がなく、委託金約7000万円のうち、約半数の3500万円あまりが不正受給されたことが兵庫労働局の調査で判明している。元市議は1991年に神戸市議会に初当選。3期目の2006年、産業廃棄物中間処理施設をめぐる汚職事件であっせん収賄罪で起訴され辞職している。