鉄鋼大手「神戸製鋼所」の子会社が神戸市灘区で建設計画中の石炭火力発電所2基について、環境影響評価(アセスメント)手続きに瑕疵(かし=不十分なこと)があるにもかかわらず、変更の必要がないとした経済産業省の確定通知は違法として、周辺住民ら12人が国を相手取り、通知の取り消しなどを求めた訴訟の判決で、大阪地裁は15日、訴えを退けた。住民側は控訴する方針。

敗訴を伝える原告ら(2021年3月15日 大阪地裁 写真・原告弁護団提供)
敗訴を伝える原告ら(2021年3月15日 大阪地裁 写真・原告弁護団提供)

 温室効果ガスの排出が多く、世界的に廃止される流れが強まっている石炭火力発電所の環境アセスメントに対する国の判断の是非が争われたのは初めて。

 訴状によると、2基は石炭火力で出力計130万キロワットの神戸発電所3、4号機で、2021〜2022年度に営業運転を開始予定だが、地球温暖化を助長する二酸化炭素(CO2)の排出量が少ない他の燃料を検討せず、微小粒子状物質(PM2.5)による大気汚染への対策も不十分のまま、環境アセスメントの手続きが終了したとしていた。経済産業省は2018年5月、確定通知を出した。

 住民側は訴訟で、経産省には温暖化対策の枠組み「パリ協定」に基づく削減目標を達成する義務があるとして、義務に沿ったCO2の排出規制を省令で定めていないことは違法だと主張していた。しかし大阪地裁は判決で「経産相の判断に裁量権の逸脱、乱用はなかった」として訴えを退けた。

大阪地裁入りする原告ら(2021年3月15日 写真・原告弁護団提供)
大阪地裁入りする原告ら(2021年3月15日 写真・原告弁護団提供)
判決後会見する原告と弁護団(2021年3月15日 大阪市北区 写真・原告弁護団提供)
判決後会見する原告と弁護団(2021年3月15日 大阪市北区 写真・原告弁護団提供)

 日本はパリ協定に2016年に批准、菅首相も2020年12月、「温室効果ガスを2050年までに実質ゼロにする」と宣言している。

 住民らは2基の建設と稼働差し止めを求める訴訟も神戸地裁に起こしており、係争中。

大阪地方裁判所
大阪地方裁判所