鉄アナ・羽川英樹の連載「行ってきました!」。今回、登場するのは、滋賀・琵琶湖の東側を走る、近江鉄道です。ノスタルジックな雰囲気を醸し出す、魅力あふれるローカル線を、羽川節でリポート。それでは、まいりましょう、出発進行!

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 開業は明治31年(1898年)。滋賀で一番歴史が古いのが近江鉄道です。湖東地区を走り、地元では「ガチャコン」とも「ガチャ」とも呼ばれ親しまれています。また創業以来123年間、社名が全く変わっていないという珍しい鉄道会社です。

 米原と貴生川を結ぶ全長47.7kmの本線のほかに、近江八幡や多賀大社前に向けて支線が伸びています。この近江鉄道は西武グループに属するため、旧西武の車両たちが改装されて近江路を駆け抜けていきます。

 新幹線とも接続する本線「米原」から「八日市」までの沿線の見所をご紹介しましょう。

 次の駅「フジテック前」の横には滋賀で一番高い170メートルのエレベーター研究棟がそびえ立ちます。フジテック株式会社が大阪・茨木からここへ移転した2006年に駅が誕生しました。

7317

「鳥居本」には開業当時そのままの洋風建築の駅舎が残ります。ここはかつての中山道の宿場町。雨合羽の製造販売で栄え、静かな通りには当時の面影がしっかり残っています。

7291

「彦根」は湖東の中心地。国宝・彦根城や江戸情緒あふれる夢京橋キャッスルロードを訪ね、ひこにゃんにも会ってきてください。「多賀大社前」方面へ接続する「高宮」を過ぎたあたりから新幹線が横にピタリと並走してきます。

7262

「豊郷(とよさと)」は江州音頭発祥の地であり、伊藤忠の創業者・初代 伊藤忠兵衛の出身地でもあります。またアニメ『けいおん!』でおなじみの豊郷小学校の旧校舎群があるためファンが後を絶たず、ヴォーリズ建築のすばらしさも実感することができます。

7263

 このあと沿線随一のフォトスポット<愛知川橋梁>を渡ります。登録有形文化財の橋梁を渡る列車の姿を、鉄ちゃんたちは追いかけます。ただし通常60分に1本の運行ですから、時刻表を確認のうえ撮影にお出かけください。

「五箇荘」は近江商人を多く生んだ街。金堂地区は、白壁と大きなお寺に囲まれた静かな伝統的建造物群保存地区。見学できる商人屋敷が5つあり、当時の繁栄ぶりがうかがえます。江戸時代から続く鴨鍋、鰻・鯉料理の老舗「納屋孫」では、3日間かけて作る「鯉の筒煮」が臭みもなく絶品です。また築200年の商人屋敷を改装したカフェ「Hakmokren(ハクモクレン)」がおすすめ。創作陶器を眺めながらゆったりとしたティータイムが楽しめます。

0389

 近江平野のど真ん中を2両編成の電車がまっすぐ進んで、東近江市の中心地であり大凧で有名な「八日市」へ。ここで近江八幡方面への万葉あかね線とも接続します。この駅の2階コンコースには「近江鉄道ミュージアム」があり、無料で公開されています。館内にはなつかしい駅名表や鉄道備品の数々、そして123年の歴史を物語る貴重な写真などが数多く展示されています。

 このあと列車は日野、水口を経て終点の貴生川に向かいますが、今回の旅はここまで。この近江鉄道、昨今は赤字続きで廃線の危機もありましたが、昨年に運行存続が決定。近江路を2両の旧西武車両がのんびり走る“ガチャコン”には、自転車を無料で車内に持ち込めるサイクルトレインもあります。心に休息が欲しいとき、ぜひ一度乗車してみてください。(羽川英樹)

7237