ウイスキーは、蒸溜した原酒を木の樽に詰めて長い期間熟成させることで香りと色がつき、深く魅力的な味わいに仕上がります。ボトルに「12年」「18年」などと熟成年数が表示されていますよね。熟成期間が長いウイスキーほど美味しくて高価、と一般には受け止められています。

 ところが『ノンエイジ』と呼ばれるウイスキーは熟成期間が短いのに、味が良く値段が安いために最近好んで飲む人が増えているそうです。しかもノンエイジは奥が深い、というんです……。早速、神戸・花隈にある「Bar SAVOY hommage(サヴォイ・オマージュ)」の店主でバーテンダーの森崎和哉さんに取材しましょう。

 森崎さんによるとノンエイジ(ノンエイジステートメント=NAS)とは、瓶のラベルに熟成年数が表示されていないウイスキーのこと。コストパフォーマンスが良く、急に人気が高まっています。

写真 サントリーのノンエイジボトル4本
サントリーの『ノンエイジウイスキー』ボトルに年数表記がない

「ウイスキーは熟成年数が長いほど手間がかかるため、量が少なく希少です。でも近年のウイスキーブームで原酒が不足していることから、蒸留所で“ブレンダー”と呼ばれる職人が熟成年数や製造年の全く違う原酒をいくつもブレンドして、長熟でなくてもバランスが良い味のウイスキーを生み出しているのです」(森崎さん)

 豊富に使うことができる年数の若い原酒を活用するノンエイジウイスキー。長熟のウイスキーよりも製造コストが低くすむことから価格が安い、というわけです。

 森崎さんの話では、長熟ウイスキーに負けないようにブレンダーが技術を磨いていて、瓶詰めするウイスキーの味を決める大きな役割を担っています。ウイスキーの原酒は、同じ蒸留所で同じ時期に熟成したものでも樽ごとに香りや味が違うのだそうです。

「ノンエイジは、ブレンダーの手腕が試されるアイテムとも言えます。メーカーのファンを広げる役割も担っています。ウイスキー好きの人は、ノンエイジで銘柄の個性がどのように発揮されているか、味わいを確かめてほしいです」

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 さらに、ウイスキー製造技術の進化により、若くても上質で素晴らしい味わいの原酒を作ることが可能になったのもノンエイジの高評価につながっている、と森崎さんが別の背景を説明しました。

 ウイスキー通からも絶大に支持されている、というノンエイジ。原酒の組み合わせが自由なぶん、安定した供給が期待できます。ブレンダーが極めた技術で表現するノンエイジは、ウイスキーの可能性をますます広げるでしょう。