水泳日本の生みの親とも言われる高石勝男さん、日本人テニスプレーヤーが海外で活躍する基礎を作った川延榮一さん、世界最年長のサッカージャーナリスト・賀川浩氏、そして車椅子テニスで活躍する上地結衣選手も芦屋にゆかりがあった。様々なスポーツを楽しめる環境があり、地域とスポーツのかかわりも深い。そんな「スポーツのまち」芦屋に焦点を当てた特別展「スポーツ展ー芦屋・阪神間のスポーツの歴史と未来ー」が芦屋市立美術博物館で開かれている。2021年8月29日まで。

特別展「スポーツ展ー芦屋・阪神間のスポーツの歴史と未来ー」の様子

 会場に入って目に飛び込んでくるのは、全長5.4メートルのカヌー。女子カヌーの先駆者と言われる遠藤小百合氏が、2000年のシドニーオリンピックに出場した際に使ったものだ。レース中についたとみられる傷も間近で見ることができる。遠藤氏は、芦屋浜や西宮浜でトレーニングを重ね1996年アトランタ、2000年シドニーと2大会連続でオリンピックの切符をつかんだ。アトランタ大会では日本女子で初めて準決勝に進んだ。現在、遠藤氏は県立芦屋支援特別学校で教壇に立っている。

遠藤小百合氏のカヌー(手前)

「スポーツのまち・芦屋」の礎を築いたのは、1948年(昭和23年)に市長に就任した猿丸吉左衛門(吉雄)さん。学生横綱であり投てきの選手で、柔道やラグビーにも精通していた。「スポーツマン市長」として知られ、老若男女がスポーツに親しめる街づくりを進めた。現在の芦屋には、テニスコートや総合運動場、海洋体育館、ゴルフ場があり、六甲山系では登山も楽しめる。

 こうした環境がスポーツの発展に貢献した人や選手を数多く生んだ。会場には高石さんが1928年アムステルダムオリンピックで獲得した銅メダルや、サッカージャーナリストの賀川氏が受賞したFIFA会長賞のトロフィーなど、およそ180点が展示されている。

FIFA会長賞トロフィー

 芦屋といえばテニスコートが多い。今までジュニアからシニアまで多くの大会が開催され、ジュニアの大会の優勝者には沢松和子氏や伊達公子氏の名前をみることができる。今や多くの日本人選手が世界で活躍しているが、日本テニスの国際化に尽力したのが川延榮一さん。元々はテニスのカメラマンだったが、大会の運営に携わるようになり、遂にはオリンピックでテニス競技の運営責任者を任されるほどになった。その功績が認められ、2005年には国際テニス殿堂の功労賞を日本人で初めて受賞、2010年には日本人として唯一ウィンブルドンの名誉会員にも選ばれた。海外のトップ選手とも親交があり、芦屋の自宅を訪れたケン・ローズウォール氏のラケットやウエアが展示されている。

 このほか、県立芦屋高校の全国高校野球選手権大会優勝旗や選抜大会準優勝旗のレプリカや、サッカー日本代表・堂安律選手や香川真司選手らのユニフォームなどが展示され、「スポーツのまち・芦屋」を知ることができる。また地域に根付いている新たなスポーツとして、ダブルダッチ・競技なわとびなども紹介している。

兵庫県立芦屋高校硬式野球部 優勝旗・準優勝旗レプリカなど
サッカー日本代表、なでしこジャパンのユニフォーム

 室井康平学芸員は、「芦屋という地域性と環境がスポーツの発展につながった。またスポーツを地域の文化として継承しようと取り組んでいる人に恵まれていることも大きいのではないか。展示を通してスポーツの楽しさ、面白さを感じてほしい」と話す。