新型コロナウイルス感染拡大の影響で史上初の延期となった東京五輪は23日午後8時から国立競技場(東京都新宿区)で観客を入れずに開会式を行い、開幕する(パラリンピックは8月24日開幕)。コロナ禍が収束しない中での開催、関西の街でも期待と懸念の声が挙がる。

「東京五輪・23日夜開幕」<2021年7月22日午後 大阪・梅田>
「東京五輪・23日夜開幕」<2021年7月22日午後 大阪・梅田>

■韓国・文大統領来日見送りなど、菅首相”五輪外交”小規模も「挑戦する五輪」強調

 23日夜の開会式に合わせた世界各国首脳級の来日はコロナ感染拡大などが影響し、フランスのマクロン大統領ら15か国・機関程度にとどまる見通し。過去の大会と比べると「五輪外交」は華々しさを欠きそうだ。アメリカ・バイデン大統領や韓国・文在寅大統領は来日を見送った。

菅首相は米紙ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューに「(五輪を)やめることは簡単 挑戦するのが政府の役割」と答えた〈※画像は2019年12月20日撮影〉
菅首相は米紙ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューに「(五輪を)やめることは簡単 挑戦するのが政府の役割」と答えた〈※画像は2019年12月20日撮影〉

 2012年ロンドン五輪開会式には約80か国・地域の首脳級が出席。2016年のリオデジャネイロ五輪は「ジカ熱」流行やブラジルの政情不安もあって約40か国・地域だったが、今回はさらに下回ることが確実な情勢だ。

 菅義偉首相は20日の米紙ウォール・ストリート・ジャーナル電子版のインタビューで、新型コロナウイルス禍での東京五輪の開催について、自身に近い人たちから中止すべきだとの助言を何回も受けたと明かした。そして「ワクチン接種も進み、感染を防ぐための厳しい措置を取っている。準備はできたと判断した」と強調した。

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大阪駅前 五輪に伴う4連休中、府内のコロナ新規感染者400人超える(7月22日)
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■選手たち、後世に名を残してほしい

 「ここまで来たら、頑張って盛り上げていきたい。もちろん、屋外で騒ぐとか、スポーツバーのパブリックビューイングで観戦するのではなく、出場した選手へ敬意を払いたい。5年後、10年後「世界が大変な最中に、アスリートとして自らと戦い、コロナとも戦った」と言ってもらえるような”TOKYO2020”に」(大阪市都島区・30代会社員/男性)

 「始まれば、自宅で競技を観戦するしょう。日本が真剣にやることに意味があると思って開催するならば、世界中の選手たちにもエールを送りたい」(神戸市中央区・20代大学生/女性)

神戸・三宮 大学生は率直に「始まれば、それなりに観戦します」と回答
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姫路駅前「五輪開催によってコロナ感染拡大、救える命が救えなかったら」懸念も
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■もはや世界は”Shohei Ohtani” 五輪どころでは…

 一方、世界の興味について、このような意見も。「いつの間にか五輪ありきで、開催する・しないの議論がないがしろになったのではと思う。五輪開催の影響で首都圏だけでなく全国的にコロナ感染が拡大し、重症者が増えて病床がひっ迫し、救える命が救えなかったら…大会に出た選手は、後ろめたさを感じるかも知れない。日本のみならず、世界のスポーツファンの注目は、五輪競技ではなく大谷翔平選手(アメリカ大リーグ・エンゼルス)の一挙手・一投足ではないか」(兵庫県姫路市・50代会社員/男性)

明石・魚の棚(うおんたな)で主婦が疑問符「いったい、誰のための五輪なの?」
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■辞任・解任・撤回、ドタバタ開幕直前まで

 莫大な総工費がネックになったメインスタジアムの当初計画の撤回や、公式エンブレムの盗用疑惑による白紙、JOC元会長の裏金疑惑、トップの問題発言…。東京五輪には常にトラブルが付いて回った。開会式に関しても、4日前に楽曲制作担当の一人だったミュージシャン・小山田圭吾氏が過去のいじめ問題を受けて辞任。前日の22日になって、演出の中心・ショーディレクターの小林賢太郎氏が過去にナチス・ドイツによるホロ・コースト(ユダヤ人大量虐殺)を揶揄(やゆ)していたことが発覚、非難を受け解任される異例の事態が続く。

 「森喜朗・前大会組織委会長の女性蔑視発言に、クリエイティヴディレクターのタレントの風貌をめぐる演出に対する批判、開会式で作曲を担当することになっていたミュージシャンの過去のいじめ問題。開幕直前までドタバタで、不信感が募ったままの五輪を観戦したいとは思わない。開会式は予定通りといっても、いったい誰のためなのかわからない」(兵庫県明石市・30代/主婦)との厳しい批判もあった。

 組織委は22日、小林氏が開会式で1人で演出を手掛けた個別の部分はなかったことを確認。「(演出)全体を早急に見直しながら、早急に協議する」としている。かつてない混乱と不安を抱え、祝祭ムードが高まらないまま17日間の大会が幕を開ける。

京都・八坂神社「歴史は繰り返すのか、前回の東京五輪でも開催の賛否が」
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■前回の東京五輪でも”慎重論”

 やはり開催する以上、「後悔しない五輪に」と祈る人もいる。「世界的にコロナが落ち着かない現状では、オリンピックは中止(延期)すべきだった。前回・1964(昭和39)年の東京五輪についても、時代背景や理由は違えど、開催の賛否があったと聞く。開催決定後から時期尚早論や返上論が浮上、関心を持たない人も多かった。そこから急速に熱気が高まり、終わってみれば『戦後復興の証(あかし)』、『平和の祭典』と称賛された。あれから57年、時代は繰り返すような気がする」(京都市下京区・60代会社役員/女性)

「首相、官邸でバッハ会長に感染対策要請」しかし関係者の“陽性”相次ぐ<2021年7月14日午前 大阪・梅田>
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