江戸時代の初め、元和4(1618)年に尼崎藩主・戸田氏鉄(うじかね)によって築城された尼崎城。天守が平成31(2019)年に再建され、尼崎の新たな観光地となっているが、元の尼崎城の痕跡は現在、地上には残っていない。そんな尼崎城の地下に残る痕跡を知ることができる企画展が、尼崎市立歴史博物館で開かれている。

 尼崎城は、大阪城の西を守る重要な軍事拠点として、築城から250年もの間、その役割を果たしてきた。三重の堀に囲まれ4層の天守を持つ城で、甲子園球場の3.5倍もの広大な敷地だったという。明治6(1873)年のいわゆる廃城令で城の処分が決まると、建物は早い段階で解体され、堀も次第に埋め立てれられて、尼崎城の跡地は尼崎の中心市街地へ姿を変えていった。昭和の初め頃までは堀など一部が地上に残っていたが、今ではすべてが土の中となった。

出土した東三の丸石垣

 尼崎城の発掘調査は、昭和62(1987)年に1回目が行われて以降、合わせて67回の発掘・確認調査が行われたという。その調査の中で東三之丸の石垣が見つかったり、陶磁器や瓦、土製品なども数多く出土している。今回の企画展「尼崎城を掘る」では、そうした写真のパネル展示や、約200点もの出土品などが展示されている。

「御台所」と書かれた磁器皿(尼崎城本丸跡出土)

 発掘調査では、数多くの土人形が出土している。縁日などで売られていたとみられ、動物や人形の形をしている。今で言うフィギュアのようなもの。コレクションして並べて楽しんでいたのだろうか? そんな江戸時代の尼崎の人々の暮らしぶりも、今回の展示で知ることができそうだ。

尼崎城出土土人形(犬)

 担当学芸員による展示解説が、8月1日(日)と29日(日)に予定されている。時間はいずれも午後1時から2時。参加費は無料。申し込みも不要で、当日直接会場に行けば参加できる。また、期間中、会場内でクイズに挑戦すると、博物館特製の缶バッチがもらえる企画もある。小学生の夏休みの宿題のヒントにもなりそうだ。

 尼崎市立歴史博物館は、尼崎城の本丸跡地にあった尼崎市立高等女学校の建物を転用。文化財収蔵庫として利用されたのち、令和2(2020)年に、公文書館機能も備えた市立歴史博物館としてリニューアルした。昭和13(1938)年竣工の歴史的建築物で、建物そのものも魅力的。再建された尼崎城と合わせて、尼崎の歴史に触れてみたい。