◆鉄アナ・羽川英樹「行ってきました!」vol.41

 JRの観光列車といえば「ななつぼし」「瑞風」「四季島」など高額の豪華列車が注目を集めていますが、探してみるとリーズナブルで個性的で魅力的な観光列車が数多く走っています。今回は西日本エリアから大人向けのおすすめ観光列車を3つご紹介します。

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◇「WEST EXPRESS(ウエストエクスプレス)銀河」

 昨年9月から運行を始め、これまで山陰や山陽ルートを走ってきましたが、7月16日から年末までは「紀南コース」として京都〜新宮を結んでいます。

「銀河」といえば、かつては東京と大阪を結んだ寝台急行ですが、それをグレードアップした客室編成となり「瑠璃紺色」をまとった6両編成で運行されています。

写真右が、「WEST EXPRESS銀河」(画像提供:JR西日本)

 普通寝台は実にカラフル、また女性専用指定席はリクライニングが深く足が伸ばせるように設計されています。さらにグリーン車は昼行は向かい合わせの2席で使い、夜行は一人用ベッドとして使用するなどいろんなパターンから選ぶことができます。この車両は、かつて新快速シティライナーとして関西で活躍した117系の改装したもの。夜行の場合は京都を21時15分に発ち、新宮には翌朝の9時37分に到着します。

「WEST EXPRESS銀河」の1号車ファーストシート(提供:JR西日本)
「WEST EXPRESS銀河」の2・5号車クシェット(提供:JR西日本)

 和歌山では深夜に駅から出て和歌山ラーメンを食べ、朝6時には串本で橋杭岩を見学し、そのあとレストランで漁師の朝ごはんをいただくなど地元グルメが満喫できる行程なんです。週2往復する日本旅行の企画ツアーとして販売され、2泊3日(うちホテル1泊)で2万6千円から。

◇「花嫁のれん」

 北陸新幹線が開業し2015年から金沢〜和倉温泉を結んで運行されている列車で、能登観光の切り札列車として加賀百万石の文化を伝えています。沿線の車窓風景は意外と単調なので、そのぶん内装は加賀友禅・輪島塗・金箔をふんだんに使い豪華絢爛に仕上がっています。1号車は竹林のように仕切った半個室で、まるで高級料亭の中にいるような錯覚に陥ります。

「花嫁のれん」(画像提供:JR西日本)
「花嫁のれん」の車内、左:桜梅の間、右:笹の間(提供:JR西日本)

 そもそも「花嫁のれん」とは加賀藩伝統の嫁入り道具のこと。花嫁は嫁ぎ先に掲げられたこの暖簾をくぐってお嫁入りするんです。

 昼の和倉温泉発の便では、創業190年の老舗・大友楼の特製弁当を楽しむこともできます。2両編成で金曜〜月曜に1日2往復の運行。運賃以外に指定席料金1390円プラスで乗車できます。

「花嫁のれん」の「和軽食セット」(提供:JR西日本)
「花嫁のれん」の「ほろよいセット」(提供:JR西日本)

◇「或る列車」

 JR九州管内を走る面白いネーミングの列車です。黄金色の派手な外観と装飾で九州各地を走りますが、7月16日から約3か月間は博多〜ハウステンボス間を結んでいます。

「或る列車」(画像提供:JR九州)

 この列車は1906(明治39)年に当時の九州鉄道がアメリカに発注した豪華客車。しかし直後に九鉄が国有化され幻の列車となりました。それが110年の時を経て、鉄道デザインの第一人者・水戸岡鋭治の手によって再現されたものなんです。

 2両編成の車内の1号車は贅沢で木のぬくもりを感じる内装。2号車は落ち着いたウォールナット材を使って個室風に作られています。

「或る列車」1号車(画像提供:JR九州)
「或る列車」2号車(画像提供:JR九州)

 料理は東京・南青山のレストラン成沢のシェフが監修したこだわりのメニュー。この列車は時刻表にも載らないJR九州の企画ツアーで、現在のコースは7月16日から10月24日までの原則金曜〜月曜に1日1往復の運行。料金は料理込みで2万6千円から。

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 世の中が落ち着いたら、これらの観光列車でぜひ大人旅を楽しんでみてください。(羽川英樹)