自分や家族が学校や会社に行けない日が続いているなど「ひきこもり」の状態になって悩んでいるという人は、今、10代から60代をはじめ、どの年代にもいるという。

 そんな人々を社会参加につなげるため、支援を行っているのが神戸市の「神戸ひきこもり支援室」。9月にはひきこもり支援を行う人に向けたオンライン講座も開催予定だ。

「神戸ひきこもり支援室」は、2020(令和2)年2月3日、神戸市中央区の神戸市総合福祉センター1階にオープンした。ひきこもり状態にある本人やその家族の相談を、面談や、電話・メールで受け付けている。精神保健福祉士、社会福祉士、公認心理師などの資格を持つ数名の相談員が、社会参加に向けサポートを行う。

電話やメールで相談や支援を行う相談員

 面談室は清潔感があり、とても落ち着いた雰囲気で、訪れた人が相談しやすいような空間になっている。

落ち着いた雰囲気で清潔感のある面談室

 80代の親が50代の無職の子どもを養う中で社会から孤立してしまうなど、いわゆる「8050問題」などが全国的にも問題視されるなど、「ひきこもり」は社会問題として関心が高まっている。

 内閣府が2015(平成27)年と2018(平成30)年に実施した「生活状況に関する調査」では、15歳から64歳までのひきこもり状態にある人は、全国に約54.1万人にのぼる。

 神戸市の人口に当てはめると約6600人と推計。神戸市では、ひきこもり状態にある人の早期支援や、その長期化による社会的孤立を防ぐため、相談をはじめとする支援策を充実させる取り組みを行ってきた。

 そのなかで開設された「神戸ひきこもり支援室」では、開設から1年以上が経ち、今年3月末までに2516件の相談が寄せられた。相談は約7割が家族からで、当事者の年代は20代〜40代が中心。家族からは「本人にどう働きかければ良いのか」「家族がいなくなったあとが心配」、本人からは「社会復帰したい」「働きたい」「ひきこもりから抜け出したい」という相談が多く寄せられている。

 ひきこもりの状態になっている人は、多くが家族の中でも孤立し、家族もどう働きかければ良いかわからないというケースだが、「まわりが支えることで、再び社会参加につながりやすくなる」という。

 支援室では、「まず家族関係の回復を目指す支援を行い、家族との会話、次に本人と支援者との会話を進め、その後、少人数の集団に参加することで社会参加を目指していく」としている。具体的には、個人の面談や、家族のひきこもりへの理解に向けた「家族教室」、そして同じ環境にある家族の集まりの場も設けている。また希望者には就労支援も行っている。

 9月にはひきこもり支援を行う人に向けたオンライン講座「みんなで学ぼう 支えあうための一歩〜神戸市ひきこもりサポーター養成講座基礎編〜」を開催。内容は神戸市看護大学教授の船越明子さんによる、ひきこもりの基本的理解と、ひきこもりサポーターの役割についてなど。申し込み期間は9月1日(水)〜30日(木)で、開講期間は9月10日(金)〜10月10日(日)。参加費無料。申し込みはウェブ上の応募フォームからのみ受付。問い合わせは電話078-362-7375(ラジオ関西、平日午前10時〜午後5時)。

「神戸ひきこもり支援室」の松原雅子室長は「支援室では相談員が一人ひとりの支援を、焦らずに、時間をかけて、階段を一段一段上っていくように進めている。地域の人がひきこもりのことを正しく理解して、温かい目で見ることで、当事者や家族が一歩踏み出すことにつながる」と述べている。

『サンデー神戸』レポーターの大屋はるな(左)と、「神戸ひきこもり支援室」の松原雅子室長、酒井恵美子さん

※ラジオ関西『サンデー神戸』2021年8月29日放送回より