暴力団事務所撤去の動きが全国的に進んでいる。指定暴力団「絆会」の拠点施設の一つ、「古川組」事務所(兵庫県尼崎市)の所有者が近く解体工事を始めることが関係者への取材でわかった。

 暴力団排除活動をサポートする弁護士は「暴力団の対立抗争事件が全国的に相次ぐ中、法律の規制によって一定の効果があった」と話した。解体工事は9月17日にも始まるという。

絆会の拠点だった「古川組」事務所(現在は無人・兵庫県尼崎市)
絆会の拠点だった「古川組」事務所(現在は無人・兵庫県尼崎市)

 絆会は2017年、全国最大の暴力団「六代目山口組」から分裂した「神戸山口組」(いずれも神戸市に拠点を置く特定抗争指定暴力団)の一部が離脱して「任俠団体山口組」として発足(のちに任侠山口組、さらに絆会へ改称)、山口組は三つ巴となった。

 2019年、このうち六代目山口組と神戸山口組、いわゆる「2つの山口組」の抗争が激化したことから、尼崎市の地元住民から「平穏な住民生活が脅かされる」との訴えを受け、公益財団法人・暴力団追放兵庫県民センターが代理訴訟を神戸地裁に申し立て、神戸地裁は古川組事務所の使用を差し止める仮処分を出した。このため組員が出入りできず、活動拠点として機能しなくなったことから、所有者が民間の売却先について交渉しているという。

 また尼崎市は2020年11月、発砲事件のあった市内の暴力団関連施設について全国初の自治体による買収を決めた。同様の取り組みでは、福岡県北九州市で、特定危険指定暴力団・工藤会の本部事務所の跡地を、市の仲介で民間業者が購入した例がある。

尼崎市は2020年、自治体として初めて暴力団関連施設を買収
尼崎市は2020年、自治体として初めて暴力団関連施設を買収

 なお尼崎市内では、別の暴力団事務所(すでに解散)についても民間への売却に向けた動きがあるという。この事務所も2018年に神戸地裁から事務所使用差し止めの仮処分を受けており、実現すれば市内では暴力団の拠点3か所が売却、あるいは解体されることになる。