錦絵や和本、掛け軸といった絵画作品の中には、昔の人々の様子を描いたものが数多くある。そのような人が描かれた絵画作品を集めた「躍動する人人」展が、兵庫県西宮市の酒ミュージアム(白鹿記念酒造博物館)で開かれている。会期は2021年11月23日(火・祝)まで。

 作品に描かれているのは、生き生きと仕事をする人や仲間と遊んでいる人など様々。表情やポーズなど誰ひとりとして同じ姿はない。このことからタイトルを「人々」ではなく「人人」にしたという。

 日本国内の産業を一堂に集めて展示した明治10(1877)年の第1回内国勧業博覧会にあわせて販売された錦絵「大日本物産図会」には、誇りをもって特産物の生産に取り組む人々の様子が描かれており、「摂津国伊丹酒造之図」や「新酒出荷之図」からは、当時の様子をうかがうことができる。また、養蚕を描いた錦絵「常陸国養蚕之図」には働く女性の姿が描かれている。当時、絹織物は外貨獲得のための重要な輸出品で、重要産業の担い手が女性だったことも知ることができる。

大日本物産図会 摂津国伊丹酒造之図  (三代歌川広重) 明治10年(1877)
大日本物産図会 同新酒出荷之図 (三代歌川広重)明治10年(1877)

 また、「於御濱御殿徳川大樹御舩手西瓜合戦上覧図」(明治22・1889年)では、紅白の鉢巻きをした江戸時代の水軍の武士たちが、海でスイカを使って訓練をしている様子が描かれているほか、当時の名所紹介のガイドブックのような「摂津名所図会」には、天神祭や有馬温泉での祭りの様子が描かれ、「人人」が楽しんでいる様子がわかる。

於御濱御殿徳川大樹御舩手西瓜合戦上覧図 (月岡芳年) 明治22年(1889)
遊楽図 江戸前期
摂津名所図会 寛政8〜10(1796〜1798)

 酒ミュージアムの大浦和也学芸員は「東京オリンピック・パラリンピックでもそうだったように、人が頑張る姿は元気を与えてくれる。ここに描かれている人もその人の生き方がよく表現されている。コロナ禍の今、私たちの暮らし向きを元気にするものになるはず」と話す。

酒ミュージアム

◆令和3年度秋季展「躍動する人人」
会場 酒ミュージアム(白鹿記念酒造博物館)
兵庫県西宮市鞍掛町8-21
会期 2021年9月18日(土)〜11月23日(火・祝)
・前期:9月18日(土)〜10月17日(日)
・後期:10月20日(水)〜11月23日(火・祝)
*前期と後期で展示替えを実施。
休館日 火曜、10月18日(展示替えのため観覧不可)※11月23日は開館