平安時代末期に神戸の地にひらかれた幻の都「福原京」にスポットライトを当てた企画展、“「福原京」の考古学”が、神戸市西区にある神戸市埋蔵文化財センターで開催されている。期間は11月28日(日)まで。

神戸市埋蔵文化財センターで開催されている企画展、「福原京」の考古学

 1991(平成3)年にオープンし、今年で30周年を迎えている神戸市埋蔵文化財センターは、発掘調査で確認された「福原京」に関する考古資料などを保管し、その解明とともに歩んできた。企画展では、平清盛没後840年にあたる今年、発掘された遺物と遺構により明らかになった「福原京」について紹介している。

 平安時代末期、今の神戸市中央区楠町、兵庫区の平野や荒田一帯にあったと考えられる福原荘は、平氏一門が屋敷を構え、1180(治承4)年には、平清盛が福原への遷都を敢行。半年後に平安京へ還都されるまでの間、幻の都として存在した。

 当時の建造物などが見つかっていなかったことから、800年もの間、その実態は不明で、方丈記や平家物語からその実態を想像するしかなかったが、1982(昭和57)年の神戸大学医学部付属病院構内(神戸市中央区楠町)で行われた楠・荒田町遺跡第2次発掘調査において、初めて「福原京」時代の遺跡が明らかになった。

 その後、1986(昭和61)年には雪御所遺跡、1993(平成5)年には祇園遺跡の発掘調査を実施。現在までの発掘件数は、楠・荒田町遺跡が65次、雪御所遺跡が7次、祇園遺跡が22次を数え、「福原京」、そして、その前後の歴史が少しずつ明かされている。

 今回の企画展では、建物や井戸など「福原京」時代の遺構や、大和田泊から荷揚げされたとされる、当時の中国・宋の国からの輸入陶磁器、また京都系土師器、建物に敷かれていた瓦などを公開。なかでも見どころは、兵庫区祇園遺跡出土の、山城系軒瓦(平安時代)。鴨長明の「方丈記」には都の家々が解体され、福原に移築するため船に乗せられ淀川を下っていくという記述があり、京都製の瓦の出土は、この記述の物的証拠と考えられる。

 今後は企画展と合わせて、学芸員と巡る福原京ウォークや、記念講演会なども開催予定。神戸市埋蔵文化財センターの学芸員・須藤宏さんは「この40年ほどの間に発掘された福原京の情報を盛り込んだ企画展になっている。福原京や、平清盛に興味のある人はぜひ見に来てほしい」と話す。

写真左から、神戸市埋蔵文化財センター学芸員の須藤宏さん、『サンデー神戸』レポーターのぷりん亭芽りん