兵庫県には、文化庁が認定した「日本遺産」が9件、国指定史跡のお城が22城あり、いずれも全国最多を誇る。また、1000を超す城跡や播磨国風土記など、個性豊かな地域遺産を数多く有している。そうした兵庫の歴史を学びながら、周辺のおすすめスポットを計15回のシリーズで紹介する。

【第11回】全国最多の古墳と松帆銅鐸

「日本最多の古墳を持つ都道府県は?」と問われると、世界文化遺産「百舌鳥・古市古墳群」のある大阪府や、「キトラ古墳」、「高松塚古墳」などが知られる奈良県を思い浮かべる人も多いだろう。意外なことに、最も多いのは兵庫県だ。その数1万8,851基(現存17,647基、消滅1,204基)。2位の鳥取県を5,000基以上も上回り、全国の12パーセントを占める。(※1) これは、奈良を中心に勢力を拡大したヤマト王権に深く関わる豪族が、現在兵庫県となっている地域にいた証と言える。また、高度な土木技術を持った渡来人や、大陸沿岸や南方諸島の海洋民である「海人族」らの影響も考えられる。

 兵庫県内の古墳の代表格は、神戸市垂水区の山の手に残る「五色塚古墳」だ。4世紀後半に築造された県内最大の前方後円墳。全長194メートル、後円部は6階建てのビルに相当する18.8メートルの高さがあり、3段に築かれたその墳丘は明石海峡の海上から見ても威容を誇る。埋葬施設の調査が行われていないため誰を葬ったのかは分かっていないが、資産を成した権力者だったのは明らかという。しかし稲作による財産形成が常識だった当時、広い平野のない五色塚付近でどのように富を築き、権力を持つに至ったのか不思議だ。海上交易に携わった人物だったのかもしれない。

五色塚古墳 (©一般財団法人神戸観光局)

 また、但馬の朝来市和田山町の「茶すり山古墳」も見逃せない。近畿最大級の円墳で、直径約90メートル、高さ約18メートルある。

 古墳の多さを誇る兵庫県は、石で造った棺=「石棺」用の石材の産地でもある。中でも播磨地域では古代から凝灰岩が多く採れ、高砂市の「竜山石」(産地の名を取って「宝殿石」とも)や、加西市の「高室石」などを生かして「石の文化」を確立した。今も掘り出される竜山石は、百舌鳥・古市古墳群の1つ「仁徳天皇陵古墳」をはじめ、畿内の大王墓級の石棺にも使われ、のちには加古川流域の「石棺仏」にも再利用された。

 さらに兵庫県は、銅鐸の出土数も68点(※2)を数え、全国一を誇る。中でも2015年(平成27年)に淡路島の南あわじ市で発見された7点の「松帆銅鐸」は大きな話題となった。埋納時期(約2,100〜2,300年前)や形が最古級であるばかりか、内部で音を鳴らすための舌(ぜつ)と、全国でも初確認のつり下げひもまでそろっていたからだ。加えて、大きい銅鐸の中に小さい銅鐸を納める「入れ子」状態だった点も注目された。

(左)7個すべてに舌が伴う松帆銅鐸 (右)朱を生産した二ツ石戎ノ前遺跡の石杵 (出典:日本遺産ポータルサイト)

 淡路島は、大陸や朝鮮半島と畿内を結ぶ瀬戸内の東の端で畿内の西側にあり、古代国家が形成された時代に、島と海を舞台に交易で活躍したとされる海の民「海人」の足跡が残る。紀元前の弥生時代、稲作の本格化にともなって社会が大きく変化したころの遺跡からの出土品も多い。先述の松帆銅鐸を含む21個の銅鐸と、14本の「古津路銅剣」(一部、県指定重要文化財)は古式の青銅器の代表格で、その多くが海岸部で発見された事実は重要だ。播磨灘を望む海岸を「神聖な場所」として埋納地に定めたとも考えられ、その祭りの在り方は海人が携わったことを想像させる。

※1 平成28年度、文化庁調べ
※2 令和3年10月時点データ、兵庫県教育委員会調べ

【参考文献】
・兵庫県公式観光サイトHYOGO!ナビ
・文化庁日本遺産ポータルサイト

◆おすすめスポット
洲本市 「cafe maaru」

cafe maaru(外観)

 神戸淡路鳴門自動車道「津名一宮」インターチェンジ、もしくは「洲本」インターチェンジから、国道28号線経由で洲本市内方面へ進むと、見えてくるのが淡路島唯一のバウムクーヘン専門店「cafe maaru(カフェまぁる)」。

 店で提供している「淡路島ばぁむ」は、素材にこだわった一品。大自然でのびのびと飼育されるニワトリが産んだ淡路島産の卵、新鮮な淡路島牛乳をたっぷりと使っている。生地は、焼く温度や時間を職人の目と感覚で細かく調整。まるでバウムクーヘンと会話をするかのように丹精込めて焼き上げ、風味豊かに仕上げている。

 バウムクーヘンは年間を通して10種類以上展開しており、期間限定のものも登場する。1番人気は定番のプレーンとのことだが、女性にはストロベリー味やチョコレート味、男性にはコーヒー味も人気。いろいろな味を食べてもらえるようにとの考えから半分にカットされた形になっており、特に女性からは「大きさがちょうどいい」といった声が聞かれるそう。

見た目もかわいい「淡路島ばぁむ」

 カフェでは、ブリュレやフォンダンショコラなどが入った創作バウムクーヘンが食べられるほか、パスタやハンバーグなど、地元の食材をたっぷり使った食事メニューも充実。オープンテラスがあり、青い海を一望できる絶好のロケーションで過ごすこともできる。お店の前には大浜公園まで続く遊歩道が整備されているので、天気が良い日はテイクアウトして海辺の散歩と併せて楽しむのも良さそう。

ランチメニュー「豚肉のマーマレード炒め」
ランチメニュー「エビとブロッコリーの明太クリーム」

 ちなみに、スイーツ好きの女性客が多いのかと思いきや、洲本温泉の近くという立地から老若男女問わず訪れるという。ゴルフで来た男性6人組がいれば、自転車で淡路島を一周する通称「アワイチ」に挑戦している人がカロリー補給に来る、なんていうこともあるそうだ。

 今年5月には南あわじ市に新店舗「淡路島ばぁむ工房maaru factory」も開業。1階にはバウムクーヘンの形をした大きな円形テーブルがあり、淡路島ならではのありとあらゆるスイーツが並ぶ。買い物を1か所で済ませることができるようにと、複数店のスイーツの詰め合わせギフトも販売している。さらに2階には農産物や雑貨が並んでいて、思わず長居してしまう。

バウムクーヘンの形をした円形テーブル
2階には農産物や雑貨が並ぶ

「淡路島ばぁむ」はオンラインショップでも購入できる。

淡路島ばぁむ工房maaru factory(外観)