兵庫県内のモスバーガー(本社:東京都)で、盲導犬支援のチャリティーが9月から展開されている。特定の商品を購入すると、その売り上げの一部が「社会福祉法人 兵庫盲導犬協会」(神戸市西区)に寄付されるという。縁を結んだのは、互いの思いと行動力だった。

ハーネスと子犬(写真提供:兵庫盲導犬協会)

 同協会は盲導犬を育成し、視覚障がい者へ無償で貸与する事業に取り組んでいるが、その活動費の9割は、一般支援者や企業からの寄付・寄贈、募金などによって賄われている。ところが、新型コロナウィルスの影響でイベントは中止続き。街頭の募金活動は自粛、支援企業も厳しい状況に陥ったことから寄付が見込めず、先の見えない不安な状態が続いていた。

視覚障がい者の目となり暮らしのパートナーとなる盲導犬(写真:兵庫盲導犬協会)
イスの位置を知らせる訓練(写真提供:兵庫盲導犬協会)
企業などに設置されている募金箱(ラジオ関西)
募金活動のようす(写真提供:兵庫盲導犬協会)

 そこで4月、クラウドファンディングで支援を呼びかけた。すると約250人から、目標額を上回る500万円以上の支援が寄せられた。しかし、盲導犬を1頭育成するのにさえ500〰600万円の費用がかかる。不安をぬぐうことはできなかった。

 その窮状を新聞記事で知ったのが、株式会社モスフードサービスの兵庫支部メンバーだった。「電子マネーの普及により、店頭での募金も減少傾向にあることを実感していた矢先。何かしらお役に立てないかと考えました」と振り返るのは、同支部キャンペーン推進委員の園田正樹さん。県内の加盟店のオーナーに呼び掛けたところ、快く賛同してくれたのだそう。チャリティーは、兵庫県内のモスバーガー38店舗が一体となって展開することに決まった。

 支援を受ける同協会事務局長の田中邦人さんは「本当に苦しい時だったので(モスバーガーからの申し出は)うれしかった。私たちの事業は、支援という形での皆様の“愛情”が集まって成り立っているものですので」と感謝を込めて語る。

 9月12日から展開中のチャリティー。対象メニューは、「フォカッチャサンド 馬蹄型(ばていけい)ソーセージ&グランピングソース」(420円、11月上旬までの期間限定販売)と、「グリーンバーガー<テリヤキ>」(580円)。フォカッチャサンドは、馬の蹄鉄型の薫製ソーセージに、バーベキューソースをアレンジした‟グランピングソース“を合わせ、フォカッチャで挟み込んでいる。グリーンバーガーは、野菜と穀物を主原料としたうえ、五葷(ごくん、※1)も抜いたヘルシーバーガーだ。それぞれ、1個購入につき10円が同協会に寄付される。

フォカッチャサンド 馬蹄型ソーセージ&グランピングソース(画像提供:モスフードサービス)
グリーンバーガー〈テリヤキ〉(画像提供:モスフードサービス)

 園田さんは「地元の方々に日頃の恩返しができればという思いもありました。学ぶことも多く、こちらが感謝しています」と話す。今後は、企業の活動方法の見直しを視野に入れてスタッフ参加型の活動を模索。同協会へも、形を変えながら継続的な支援を考えているという。協会側も「緊急事態宣言解除後、イベントなどの依頼も徐々に増えています。いつか、県内のモスバーガーの店頭に盲導犬を連れて行ってのPRも行いたい」と意欲的だ。

 双方の思いと行動力が実って結ばれた縁。企業や団体、そして私たち一人ひとりも何かしらの気付きが得られそう。今後の広がりにも注目したい。

 モスバーガーの兵庫盲導犬協会チャリティーは、兵庫県内の38店舗で11月10日(水)まで。

明石海峡をバックに(写真提供:兵庫盲導犬協会)

※1 仏教における臭気の強い5種の野菜(ねぎ、らっきょう、ニラ、にんにく、たまねぎ)のこと。