落ち着いたアンティーク調のインテリアに、クラシックのBGM。居心地の良い空間で香り高いコーヒーを楽しめるのが、兵庫県三木市にある「岡田コーヒーストア」だ。

岡田コーヒーストアの外観

 2011年のオープンから今年で満10年、店を切り盛りするのはオーナーロースターの岡田英敏さんと妻の香恵さん夫妻。

 以前は調理師専門学校で中国料理の講師をしていた英敏さん。コーヒーストアのオーナーに転身したのは、香恵さんが体調を崩したことがきっかけだったという。「薬以外で健康につながるものはないかと必死に探したところ、新鮮なコーヒーの香りが心身をリラックスさせると知り、自分で豆を焼くことから始めた」と話す。

焙煎の様子

 英敏さんが焙煎するコーヒー豆は次第に知人の間で評判となり、店を開くことに。ところが数年後、今度は英敏さんが体を壊してしまう。「気分転換させようと、思い切ってハワイへ。そこで巡り合ったのが、とびきりおいしいワイアルアコーヒーだった」と香恵さん。

 ぜひともこの豆を取り扱いたいと考えた二人だったが、輸入には困難を極めた。焙煎済みの豆と異なり、生の豆は植物検疫を通す必要があるため少量の取引が難しい。2年ほどルートを模索し、何とか直輸入にこぎ着けた。「ハワイのコーヒーを何としてもお客様に届ける」というミッションを持てたことで、英敏さんの体調も回復。遂に2017年、日本で初めて自家焙煎のワイアルアコーヒーが楽しめる店となった。

店内の様子

 岡田コーヒーストアで提供されるコーヒーには、1つのこだわりがある。焙煎前に1回、焙煎後に1回、そしてドリップ前に1回、計3回行う「ハンドピック」だ。ハンドピックとは、コーヒーの味に大きく影響する欠点豆を目視で確認し、一つひとつ手作業で取り除くこと。どんなに質の良い豆でも、農作物のためカビが付いたり腐食したりしている豆が必ず入っている。それらを丁寧に除去することが、他にはないコーヒーのクリアな味わいにつながっているという。

コーヒー

 こだわりの詰まったコーヒー豆は、ふるさと納税でも注目を集めている。そしてこのたび、新たな商品がラインアップに加わった。その名も「楽園のコーヒー」。ハワイ・モロカイ島で採れた豆で作るコーヒーは、やわらかくもコクがしっかりとあり、飲むほどに甘く、まろやかになっていく。国内ではまだあまり出回っていない希少品だ。そのおいしさを日本中、そしてゆくゆくは海外の人にも味わってほしいという岡田さん夫妻。「目の前のお客様一人ひとりに合ったコーヒーをいれることを、これからも大切にしていきたい」。そんな二人の思いが詰まった一杯は、飲む人の心も解きほぐしてくれそうだ。(嵐みずえ)

店内の様子
写真左から、オーナーロースターの岡田英敏さん、妻の岡田香恵さん、レポーターの嵐みずえ