◆鉄アナ・羽川英樹「行ってきました!」vol.54

 若桜(わかさ)鉄道は鳥取東部の静かな山間を走りぬける19.2kmの第3セクター路線。過疎の地域を走るローカル鉄道ですが、この沿線には登録有形文化財の鉄道施設がなんと23か所もあり、昭和の鉄道遺産をしっかり目のあたりにすることができるんです。

 起点の「郡家(こおげ)」はJR因美線との共同使用駅で、特急スーパーはくとなども停車します。では、あの水戸岡鋭治氏デザインの若桜行ディーゼルカーで出発進行!

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若桜鉄道「若桜号」

「因幡船岡(いなばふなおか)」のホームに、巨大な秤(はかり)がありました。これはかつて牛市が開かれていたときに牛の重さをはかっていたもので、いまも大事に保存されているんです。待合室のコの字型の腰掛や開放的な窓も昭和の風景そのものです。

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巨大な秤(はかり)
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待合室

「隼(はやぶさ)」はその名にちなんで毎年8月の第1日曜には、スズキの大型バイクが全国各地から2000台も集結する、「隼ライダー」「隼乗り」の聖地なんです。

 またここには、ムーンライト高知・松山として活躍したグリーン客車・オロ12形が静態保存され、今は1棟貸しのライダーズハウスになっています。

「安部」は<安井>と<日下部>の地名から一文字ずつをとったもので、安部という地名は存在しないんです。ここには理髪店が併設されており、店主が駅業務も委託されています。そしてこの駅は映画『男はつらいよ』にも登場。後藤久美子がヒロインを務めた第44作「寅次郎の告白」では、寅さんが静かにホームにたたずんでいます。

「安部」を過ぎると沿線で1番のフォトスポットである「第二八東川橋梁」を渡ります。ここでは川の岸辺から「徳丸ドンド」といわれる小さな滝越しに鉄橋を渡る列車が撮影できます。ただ、なにせ昼間は1〜2時間に1本しか運行されないので、走行シーンを撮るのはなかなか大変です。

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第二八東川橋梁

 終点「若桜」には郡家からは約30分、鳥取からの直通は約55分で到着です。駅舎は昨年、古き良さを生かしつつリニューアルされました。エキナカの「わかさカフェ retro」では、鳥取産の豚の生姜焼き風ハンバーガーが大人気です。

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若桜駅

 そしてお宝いっぱいの駅構内は300円で見学可能。機関車の方向を変えるための転車台は人力で回転させます。なつかしい給水塔の横にはC12蒸気機関車。この167号機は終戦直後までこの若桜線を走っていたものです。そして現在は月1回のSL運転体験も人気イベントになっています。

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C12蒸気機関車の167号機
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転車台

 江戸時代に宿場町として栄えた若桜町。駅から1本入ったところには20軒が連なる蔵通りがひろがります。秋の景色の中、街をゆっくり散策するのもおすすめです。

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蔵通り

 ちなみに若桜鉄道で郡家〜若桜間を往復すると運賃は880円ですが、「1日フリー乗車券」なら760円とお得です。この秋、木々が色づくのどかな風景とともに、昭和の鉄道遺産にふれるローカル列車旅はいかがでしょうか。(羽川英樹)

※ラジオ関西『羽川英樹ハッスル!』2021年11月4日放送回より