冬の味覚「千枚漬」の漬け込みが本格化している。暦の上では冬が始まる「立冬」(2021年は11月7日)を迎え、京漬物の老舗「大安(だいやす)」(京都市伏見区)が熟練職人による作業をメディア関係者に公開した。(※記事中の写真は大安提供 漬け込み作業は京都市伏見区の本社工房にて撮影)

聖護院かぶらの「皮むき」
聖護院かぶらの「皮むき」
シュッ、シュッ…小気味良く「鉋(かんな)がけ」
シュッ、シュッ…小気味良く「鉋(かんな)がけ」

 千枚漬は、直径20センチ、重さ約2キロの京野菜「聖護院(しょうごいん)かぶら」を使用。法被姿の職人たちは「シュッ、シュッ」という音を響かせながら、かんなで薄くスライスし、次々樽に敷き詰める。

「のばし」
「のばし」

 塩で3日間漬け込んだ後は、北海道産の昆布や秘伝の天然調味料で風味を付けてさらに2日間置く。大安によると、秋が深まるとかぶらの甘みが増すことから、京都特有の底冷えが始まる立冬前後に漬け込まれた千枚漬が、最も美味しいという。シャキッとした食感と、なめらかな舌触りが特徴。

「本漬け」立冬前後に漬け込まれた千枚漬が、最も美味しい
「本漬け」立冬前後に漬け込まれた千枚漬が、最も美味しい

■「千枚漬」にみる、素材の美味しさと職人の技の融合

創業1902(明治35)年、120年に向けて「素材と職人技の妙」を求め続ける
創業1902(明治35)年、120年に向けて「素材と職人技の妙」を求め続ける

 新型コロナウイルスの感染は収縮を繰り返しながら、2度目の年末を迎える。一般公開は去年に続き中止したが、季節感を忘れがちな日常で、大安ではこうした冬の風物詩の公開を大切にしている。
 そして「コロナ禍で、気軽に人と会うのもままならない世の中になりましたが、そんな時こそ贈り物に心をのせて、人と人とのつながりを感じていただきたいと思います。大安の千枚漬には 『火を通さない素材のおいしさと、職人の技術の調和』があり、これを楽しんでいただきたいのです。
 緊急事態宣言の解除で行動が緩和されたものの、まだまだ京都へお出かけにくい方も多くおられると思いますので、大安の千枚漬を味わい、京都を思い出していただけたら幸いです」と話す。

今年の冬は例年並みの910樽、かぶら約7万2800個を漬ける見込み。