お茶の風味のもちもち生地に、老舗のあんこをたっぷり入れた食パンが神戸で誕生しました。その名も「天然酵母 極(きわみ)あん食パン」(以下、「極」あん食パン)。「和菓子甲子園」で優勝した地元の高校生が開発に参加。ベーカリーの確かな技術と老舗の伝統、若き発想力が生んだ“和”の食パンです。いったいどんな味わいなのでしょう?

「極」あん食パンを送り出したのは、神戸の手作りパンのベーカリー「小麦庵」。垂水と元町で2店舗を展開しています。

パン工房小麦庵(垂水駅前)(画像提供:小麦庵)

 特に人気の高いのが食パンです。代表の柏木雅彦さんは、会社員からパン職人に転身して約30年。自他ともに認める“食パンバカ”だそう。1番人気の「天然酵母おいしい食パン」などこだわりの食パンは、兵庫県産の小麦、淡路島の藻塩、そして北海道産の小麦、純生クリーム、フレッシュバターなどの無添加素材に天然酵母を使用。約100種類に及ぶレシピの中から、毎日12種類以上を焼き上げます。

12種類の食パン(画像提供:小麦庵)

 最高級の素材で仕上げた「極(きわみ)食パン」(1斤2,000円)は2か月先まで予約が埋まるほどの評判。また、旬の完熟フルーツや、「神戸ワイン」をはじめとする地元素材を使って季節ごとに繰り出される商品はバラエティ豊かです。

 そこへ新たに加わったのが、「極」あん食パン。断面はマーブル模様。白と渋みのある緑色が目を引きます。緑色は玉露パウダーを練り込んだ生地で、白い生地に織り込まれたさまは繊細なリボンのよう。また、たっぷりと巻き込まれたあんこは小豆の粒々感が際立ち、上質であることをうかがわせます。

天然酵母「極」あん食パン(画像提供:小麦庵)

 この粒あんは、神戸で140余年の歴史を誇る老舗和菓子店「本高砂屋」(※1)から提供を受けているもの。厳選された北海道十勝産小と新潟の軟水を用いて特別製法で炊き上げた逸品で、自社販売以外に使われるのは初めてとのこと。

本高砂屋 元町本店(画像提供:小麦庵)
創業140余年 本高砂屋の粒あん(画像提供:小麦庵)

 実は柏木さん、そんな希少な粒あんの提供を受けられることを喜んだものの「良いアイデアが浮かばなくて。高校生の自由で柔軟な発想があれば、今までにない食パンができるのではないかと考えた」そう。そこで、今年の「全国和菓子甲子園」で優勝の栄冠に輝いた、菓子職人・パン職人を育てる「パティシエ・ブーランジェコース」のある、私立神戸第一高等学校(以下、神戸第一高校)に話を持ち掛けたところ、高校生6人とのコラボが実現しました。

商品完成!(画像提供:小麦庵)

 今年7月から重ねたミーティングでは、きな粉やみたらし風味など“和”テイストから、パイナップル、マスカルポーネチーズ(ティラミスの材料にも使われる酸味の少ないチーズ)まで、13種類の案が飛び出しました。その中から「当たり前」な抹茶をあえてはずし、最終的に選んだのが高級茶「玉露」でした。

 玉露のアイデアを出したのは3年生の矢次丘弦(やつぎ・きゅうと)さん。「人の味覚はわからないため、自分の“好き”を貫き通した」そうです。しかし、玉露は抹茶に比べて粒子が粗いことからなかなか生地になじまず、四苦八苦したとのこと。さまざま試行錯誤の末、玉露独特の風味と苦味、伝統の粒あんとパン生地の甘みが調和した「極」あん食パンができあがりました。

 1年生の石野舞蛍(まほ)さんは、完成品を初めて食べた際「お茶の香りとあんこの甘みが口いっぱいに広がって、『これは売れるな』と思いました」と自信を得た様子。「家族も喜んで食べていたので、ぜひたくさんの方に食べていただきたい」とアピールしました。柏木さんは「白い生地と玉露の生地のコントラストを楽しんでもらいたくて整形を工夫しました。満足のいく仕上がりになりました」と納得の表情でした。

「極」あん食パンは、1本1,500円。完全予約制で、1日10本限定。予約からお渡しまで3日かかります。予約方法は垂水駅前店と神戸元町店で異なり、それぞれ公式LINEで確認できます。問い合わせは電話078-708-7774(垂水駅前店、日曜定休)

「小麦庵」代表の柏木雅彦さん(中央)と、神戸第一高校3年の矢次丘弦(きゅうと)さん(左)、1年の石野舞蛍(まほ)さん(右)

※1 「本高砂屋」の「高」は、はしごだか。

※ラジオ関西『PUSH!』2021年11月3日放送回より。