◆これ食べなまりりん!〈19〉

 たべなまりりんこと、ラジオパーソナリティーの田名部真理です。今回は、神戸・元町映画館のすぐ近くにある名店、「とんかつ太郎」(神戸市中央区)をピックアップ! 食欲旺盛な20代から慣れ親しんだお店ですが、いつも満席で、これまでじっくりお話を聞く機会がありませんでした。このたび満を持して、お店の大将・岩井敦さんにさまざまなお話を伺いました。

「とんかつ太郎」

 1987(昭和62)年創業の「とんかつ太郎」。のれんをくぐると手前にテーブル席が1つ、あとはカウンターのみ。営業時間内は常連客でにぎわっています。同店のメインは、その名のとおり、なんといってもふっくらサク厚の「とんかつ」です。

ふっくらサク厚の「とんかつ」

 このたびの取材では、ラジオ番組『谷五郎の笑って暮らそう』(ラジオ関西)でご一緒させていただいているラジオパーソナリティーの谷五郎さんと訪問。初来店のゴローさんにいろいろ味わってほしい思いで、とんかつ・カキフライ・コロッケ・活ホタテフライをハーフサイズで特別にご用意いただきました!

「とんかつ太郎」の定番、山盛りのキャベツや、うま味たっぷりのシジミのみそ汁ももちろん付いていますし、ミルフィーユのように端正な自家製白菜漬けもオプションでセッティング。

ラジオパーソナリティー・谷五郎さんが実食へ!

 まずは揚げたてのとんかつから! 「とんかつ言うたら、日本人のソウルフードやもんね。(試食……)わ、全然、味ちゃうで! 」と、ゴローさんもびっくり!

「とんかつのコツってあるんですか?」、岩井さんに問いかけてみました。

「衣と具材のハーモニーというか。パン粉の粗さ、薄さが具材によってすべて違うんですよ。自分好みの厚さがあって。そこを探るのが面白いんです」と語る岩井さん。具材である豚は、宮崎・鹿児島県産から、やわらかく、縮まない「揚げやすい」豚を厳選。「いくらブランド豚でも状態の良くない豚は使えないんです。たくさんの品種を試した結果、仕入れ時のベストにこだわっています」。

 続いてはファンも多い「カキフライ」。海の香りを閉じ込めたカキフライは粒が大きく、食べ応えも抜群。「今は宮城県産、それから広島産、赤穂坂越産とシーズン中に産地も3〜4か所変化していきます。いつ変えるかは決めていません。市場で見ながら『今かな?』という感じで」と、岩井さんのこだわりがここでも光ります。

 ゴローさんの気分が最も高まったのは、厚さ3センチの活ホタテフライ! こちらも納得の大きさで、いい状態の殻付きホタテが市場になければ食べられない一品。「コロナの影響で、僕の目利きというよりは『あるかないか』なんですよ」と照れくさそうに笑う岩井さん。サクサク衣からふんわり香るホタテの匂いに、思わずゴローさんも「くせになりそう! あかんわ。ハマってもうたー。ホタテがあるときは店の前に貼っといて!!」(ゴローさん、それはワガママです! 笑)。

 そして、忘れてはいけないのが自家製の白菜漬け。塩辛さや甘さとは無縁。白菜のうま味を凝縮した白菜漬けは、これだけでご飯1杯いけそうです。

自家製の白菜漬け

 兵庫県高砂市出身の岩井さんは、高校卒業後、先代の井上常春さんが営む「とんかつ太郎」に入り修業。2年は揚げさせてもらえなかったそうです。井上さんの脳梗塞発症を機にお店をバトンタッチしたのが、岩井さん26歳のとき。常連客の厳しい舌と向き合いながらも、22年のれんを守り続けました。「先代は『当たり前のことを当たり前に。たかが、とんかつ』と言っていましたが、でもそれが、むずかしい。22年やっても飽きませんね。僕が勝負できるのは、これしかない。だから今も楽しいんです」。

 変わらない味の極意をみた今回の取材でした。ごちそうさまでした!(田名部真理)

「とんかつ太郎」大将・岩井敦さんと、田名部真理