日本に天台宗を広め、仏教界に新風を吹き込んだ伝教大師最澄の1200年の大遠忌を記念した特別展「最澄と天台宗のすべて」が、京都国立博物館(京都市東山区)の平成知新館で開催されている。2022年5月22日(日)まで。

 特別展には、延暦寺の最澄ゆかりの名品をはじめ、全国から貴重な秘仏や寺外で初公開となる仏像など天台美術の至宝が集められた。展示品130件のうち国宝23件、重要文化財71件と、7割以上が「国宝級」。その数々の名宝を通して、天台宗の始まりからその教えの広がり、多様な文化、現代へのつながりを紹介する。

 この特別展は、東京・九州を経て、比叡山のお膝元である京都でクライマックスを迎える。巡回展のラストとして、これまでの研究成果も併せて紹介する。

 60年に一度だけ公開されるという愛媛の秘仏「菩薩遊戯坐像(伝如意輪観音)鎌倉時代 13世紀 愛媛・等妙寺蔵」は、端正な顔立ちと、岩座に座って片膝を立てる姿勢(遊戯坐)、写実的な着衣の優れた表現が特徴で、愛媛県以外での展示は初めて。

 X線CTスキャンによる調査の結果、中には高さ5.2センチの木製五輪塔が収められていたことがわかった。会場にはその調査結果を3Dプリンターで制作した五輪塔も展示している。

 また、延暦寺の中で夫も重要なお堂とされる根本中堂の内陣を部分的に再現した。中央に安置されている最澄自作と伝える秘仏薬師如来像と、最澄が灯して以来消えたことのない「不滅の法灯」が、参拝者と高さになる珍しい構造。「東京会場では展示室の天井が高く『見上げる形』となったが、京都は天井が低く、偶然にも目線の高さが同じという結果を生み出した」と京都国立博物館の大原嘉豊・保存修理指導室長は言う。

 大原室長は「関西に住んでいると京都はいつでも行けると思いがちだが、秘仏は簡単に見ることができない。その秘仏が集まった特別な展示。一期一会を楽しんでほしい」と話す。また、比叡山延暦寺の小森文道副執行は、「コロナ禍で様々は問題がある中だが、展示を通して心の安らぎを持っていただきたい」と述べた。