関西の朝の顔としてテレビなどで活躍する気象予報士・防災士の正木明がパーソナリティーを務めるラジオ番組『正木明の地球にいいこと』(ラジオ関西、月曜午後1時〜。アシスタント:荻野恵美子)。2022年4月4日放送回では、明石浦漁業協同組合(兵庫県明石市岬町)の代表理事組合長を務める戎本裕明さんがゲストで登場。昨今の海の環境問題や、同漁協が取り組む活動、今後への思いなどを語った。

 明石浦漁協では、明石海峡や大阪湾、播磨灘から「明石鯛」や「明石ダコ」をはじめ、季節に応じて約100種類の魚を水揚げ。また、特産の「明石海苔」は国内の生産量1、2位を争うほどだという。

 その明石浦漁協でも、現在の地球温暖化、海水温が上昇している問題を深刻にとらえているよう。「環境が変化した時に対応に強い魚だけが残っている。水温や気温が上がったから仕方がないと片付けられることが多いが、漁に出たときに海の栄養がないと感じることが多い」と、現状を憂う。

 20年以上前から魚は減ってきているそうだが、戎本さんら明石浦漁協はその原因についてリンや窒素など含む海の栄養源「栄養塩」の問題ではないかと感じだしたのは、ここ10年ほど。「『栄養塩』が海に流れ、それを栄養にして、植物プランクトンが増えて、それを動物プランクトンが食べ、それをまた魚が食べてと循環しているが、その循環が崩れているのではないか」と、戎本さんは感じている。

「魚が減ってきているのは漁師が取りすぎているからやと一般的に思われがちで、もちろんそれもあるのかもしれないが、そこで(漁の)休みを増やしたり、(漁獲の)制限を行うなど、改革もしている」。それでも、海の環境の変化は漁業にも影響を及ぼしている。

 戎本さんたちは今、様々な調査をきっかけに、少しでも海に栄養を取り戻そうという活動にも取り組む。国や県など行政へは下水処理の緩和を働きかけたり、漁師としては海の底を耕して栄養を出していく海底耕うんを実施。ため池の水を海に出すかいぼりを農家にも協力を仰ぎながら行い、栄養分のある水が流れるもととなる森に木を植える活動などにも着手しているという。

 特に海底耕うんに関しては兵庫県内の各漁業組合が力を入れているが、明石浦漁協は「『豊かな海へ』海底耕耘プロジェクト」を立ち上げ、動画配信などを積極的に行っている。その活動が認められ、今年2月の「サステナアワード2021伝えたい日本の“サステナブル“」表彰式では農林水産大臣賞を受賞した。「漁師たちがどんな取り組みをしているのか、どんな思いで取り組んでいるのか、海底耕うんの作業を口で説明するよりも動画の方がわかりやすいし、チラシも活用した。『まず発信することを心がけてやってみよか』という思いで動画を作った」(戎本さん)。

 以前には、水産庁が打ち出した政策の1つ「浜の活力再生プラン」(通称:浜プラン)において、明石浦漁協は2014年に『浜プラン全国第1号案件』として全国に先駆けて活動事例の情報発信も行っている。

「今、SDGs、『持続可能』ということが叫ばれているなかで、私たち漁師に何ができるか考えているとき、ある人から『やっとるやないか。こういうことはもっと発信せなあかんよ』と言われ、今やっている取り組みをもっと高めていけばいいと感じた」という、戎本さん。「たくさんの改良や取り組みもあるが、『自分たちがやっていたことは間違いではない』と確信が持てた」。

 最後に、戎本さんは「一般的に漁師や漁業は魚を取ることが仕事で、それだけをやっているイメージが多いと思うんですが、魚を取るけど、魚を取るために『美しく豊かな海』を目指している。そういう環境づくりやいろんな取り組みをやっていることを知っていただきたい。そして、そういったことをみんなと一緒にやっていきたい」と熱い思いを語った。