◆鉄アナ・羽川英樹「行ってきました!」vol.76

 博物館明治村は明治建築を保存展示する野外博物館として1965(昭和40)年に誕生しました。敷地面積は約100万平方メートルにおよび、国内の単独テーマパークとしてはハウステンボス(長崎)、リトルワールド(愛知・犬山)に次いで第3位の広さ。東京ディズニーランドをもしのぎます。

 文明開化で洋風建築が続々登場した明治。しかし、それもその後の戦災や震災によって多くが失われ、さらに戦後の高度経済成長の再開発で多くの建造物が取り壊しとなりました。

 そこで初代館長が貴重な明治建築の保存と活用を訴え、多くの寄金も集まり、明治村開村の運びとなりました。歴代村長にはこれまで徳川夢声氏・森繁久弥氏・小沢昭一氏などが就任し、現在は阿川佐和子氏が4代目村長を務めています。

(写真① 4346)

 広大な村内は1〜5丁目までに区分され、学校・教会・病院・裁判所・県庁・郵便局・酒蔵など、重要文化財11件を含む、合わせて67件の明治時代の建物が立ち並びます。

「聖ヨハネ教会堂」は日本聖公会の京都五条教会として建設されたもの。古都に出現した赤レンガの建物は、中世ヨーロッパのロマネスク様式で尖塔がとても印象的です。

(写真② 4347)

「呉服座(くれはざ)」は大阪・池田市にあった芝居小屋。木造2階建て杉檜皮ぶきの伝統建築で、ここで歌舞伎や落語会、政治演説会などが行われていました。

(写真③ 4360
,④4362)

「金沢監獄中央看守所・監房」は八角形の看守所から5つの監獄が放射状に並び、収容者の食事や独房の様子もよくわかります。

(写真⑤4365
,⑥4366)

「帝国ホテル」は建築界の巨匠フランク・ロイド・ライトが設計した旧ホテルの中央玄関部。首都の迎賓施設として活用され、吹き抜けのロビーや気品あふれる喫茶室など当時の姿をしっかり残しています。

(写真⑦4367)

「宇治山田郵便局舎」は三重県伊勢市の伊勢神宮外宮前にあったもので、木造建築の郵便局舎としては国内最大といわれてます。平屋建ての銅板ぶきで、外観は北欧風のハーフティンバー様式のクラシックなものになっています。(※2022年10月末まで保存修理工事中)

(写真⑧ 4359)

 また鉄道ファンには「鉄道局新橋工場」内の明治天皇・昭憲皇太后御料車の展示をはじめ、村内には明治28(1895)年に日本初の路面電車として走り始めた京都市電や、新橋〜横浜を走った日本最古のSLも走り、実際に乗車して村内の移動に使うこともできます。

(写真⑨4370
,⑩4349)

 明治村の建物はこれまでにもNHKの朝ドラ(連続テレビ小説)『花子とアン』『半分、青い』『まんぷく』をはじめ、数多くのドラマや映画のロケ地としても登場してきました。驚くべきは、これらの建造物がレプリカではなく、移築・復原したホンモノであるということです。建物だけでなく当時の家具・調度・資料とともに約100年以上前にタイムスリップできるという空間は、まさに大人のためのテーマパーク。入村チケット2千円(大人)はお値打ちものです(犬山駅からバスで20分、名古屋から専用バスで60分)。ぜひ国宝・犬山城やリトルワールド、モンキーパークなどとセットで犬山の旅をゆっくり楽しんでみてください。(羽川英樹)