2021年4月に兵庫県豊岡市に開校した「芸術文化観光専門職大学(CAT)」では、授業の一環として年に2回、国内外一線級のアーティストが携わり、学生と共に演劇やダンスなどの舞台作品を創作する「CATパフォーミングアーツプロジェクト(PAP)」を展開している。このほど、同プロジェクトに招かれた演出家の多田淳之介さんが、同大学の学長を務める劇作家・演出家、平田オリザさんの番組『平田オリザの舞台は但馬』(ラジオ関西)に出演。5月14日から始まる同プロジェクトに向けた、学生との作品づくりについて語った。

多田淳之介さん

 多田さんは、01年に劇団「東京デスロック」を旗揚げ。03年からは、平田オリザさん主宰の劇団「青年団」の演出部に所属し、古今東西の戯曲を大胆な演出で構成するなど、国内外から高い評価を得ている。このたび、14日に始まる同プロジェクト『OZ2022(オーゼット ニーゼロニーニー)』に演出家として招へいされた。公演は、21年に上演された『忠臣蔵 キャンパス編』(平田オリザ作・演出)に続いて2回目。

「僕といちばん真逆の演出をする人にお願いしました」と平田さんが言うように、多田さんの演出は台本が無く、今回も、ベースは「オズの魔法使い」でありながら、観客が劇場の外にでる仕掛けも施すなど、学生らとアイディアを出し合ってつくりあげていく。

 平田さんが「心配でときどき見にいくんですけど、ずっと話し合いをしてるんですよ。全然、稽古をしてない(笑)」と笑いながら現状を暴露すると、多田さんは涼しい顔で「自分の脳内再生ではなく、『いろんな脳みそ』で作品が出来上がっていくのが楽しいんです。演劇を使っていかにお客様に『体験』をしてもらうか、ですね」と、学生らとの充実した“作戦会議”の様子を語った。

 平田さんとは「師弟関係」にある多田さんだが、その関係性はいたってフラット。多田さんは、「オリザさんから演出のノウハウを教えてもらった、っていう感じではないですね(笑)。青年団の演出部は養成所的なところではなく、環境を与えてもらって、自分の力で育ちなさい、と」振り返ると、平田さんも「自由放任なので、何も教えていないし、一人一人作風も違うので……」としたうえで、「劇作家はいい俳優に読んでもらわないと育たない。俳優も、こういう教え方をしたら育つ、というメソッドはない。学長としてできることは、学生を、とにかくいろんな演出家と会わせること。演劇ってこんなに多様なのか、ということを体験してもらいたい」とPAPの意義についても述べた。

「『オズの魔法使い』がベースなので、将来の夢がおのずとテーマになってきます。お客様にも、いま、学生らが何に喜んだり悩んだりしているのか、これからの20年をどう生きていきたいのか。そんな姿を伝えられればと思います」と多田さん。公演は14日〜22日 同大学で行われる。

写真左から、多田淳之介さん、番組パーソナリティの平田オリザ、田名部真理

※ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』2022年5月12日放送回より