「高級な腕時計といえば?」と質問すると、最も多く返ってくる答えは、「ロレックス」ではないでしょうか。もっと広く、「腕時計ブランドといえば?」と聞いても同じ答えが返ってくるでしょう。ロレックス以上に高額な時計や、多く売れている時計、歴史の長い腕時計ブランドは、まだまだあるのにもかかわらず、です。

 なぜ、ロレックスは腕時計の代名詞と言えるほど有名になれたのでしょうか。そこには、「2つの要素」があるようです。登録者数が5万5千人を超える「腕時計YouTuber」であるRYさんが、『やさしい腕時計』(ラジオ関西Podcast)で解説しました。

(1)ロレックスのすごさは、「精度の高さ」と「頑丈さ」!

 ロレックスのすごさを一言で表すと、「正確で、壊れないこと」です。一般的な、機械式(ゼンマイで動く)腕時計は、1日で約20秒ほどズレることも珍しくありません。普段の生活では、電車に乗り遅れてしまうレベルです。しかし、現行品のロレックスの腕時計はすべて、1日のズレが「プラス2秒からマイナス2秒以内」におさまるように設計されています。ここが一般的な機械式腕時計との大きな差です。

「クロノメーター」という、「腕時計がどれほど正確か」を保証する検定制度があります。「クロノメーター」を取るためには、1日の誤差を「プラス6秒からマイナス4秒以内」に収めなければなりません。この、世界中で流通している時計の3パーセントしか認定を受けていないといわれている「クロノメーター」と比べても、ロレックスの方がさらに精度が高いことがわかります。ちなみに、世界で初めて認定を受けたのはロレックスです。

 電池で動く腕時計は、ひと月で20秒ほどしかズレませんし、電波を受信する時計は全くズレません。そうした中、「どれだけ、ズレないか」を追い求める姿勢にロマンを感じませんか?

「水に強く、壊れにくい」。これは、現代の腕時計では当たり前のことですが、その昔、腕時計を水に浸けるなんてもってのほかでした。ところが、ロレックスは1926年に世界初の本格的な防水時計の開発に成功し、その腕時計を英仏海峡横断に使用します。今では、水深約4千メートルまで潜れるモデルが市販されているほど、防水性能は良くなっています。

 さらに、1931年には世界で初めて、自動で中のゼンマイを巻き上げる機構の開発に成功します。それだけではありません。時計の文字盤にある小窓からのぞくカレンダー。実はロレックスが世界で初めて、1945年に開発したものです。

 このように、ロレックスは腕時計に関する多くの「世界初」の技術を開発することに成功しています。腕時計の発展に大きく貢献し、「正確で、壊れない」という人々の求めに応える腕時計を数多く送り出したことで、有名になったのです。

(2)実は歴史あるブランドではない?

 そんなロレックスですが、実はその歴史は決して「老舗」「名門」と呼ばれるほど長くはありません。現存する世界最古の腕時計ブランドは、1735年創業の「ブランパン」です。 ロレックスができたのは1905年で、ここだけで170年の差があります。歴史だけをみると、ロレックスは、「中堅〜新興」のブランドと言えるでしょう。

 それにも関わらず、初めてエベレストに登った人の腕に巻かれていたのも、最速記録を塗り替え続けたレーサーの腕元に輝いていたのも、ロレックスの腕時計でした。約120年の歴史は、とても濃いもので、他社との歴史の差を一気に縮めました。

 また、「高級時計」と聞けば「スイス」をイメージする人も多いでしょう。現在はスイスのジュネーブに本社を置くロレックスですが、創業はイギリスのロンドンです。メーカーではなく、「ロンドンの時計商社」が始まりで、1919年にスイスに移転するまでは、そこで活動していました。1960年代の映画『007/ドクター・ノオ』では、イギリス海軍の中佐であるジェームズ・ボンドが重要なシーンでロレックスを着用していることは有名です。

 このようにロレックスはイギリスとゆかりが深いブランドで、「タフさを好む」国民気質とマッチします。そこからは、ロレックスという頑丈な時計を生み出したバックボーンがあることも理解できます。

 あなたがもし、ロレックスを着けている人を見て、ネガティブな感情を持つことがあるならば、その裏側にこういった輝かしい歴史と、数多くの職人をはじめとするブランドの思いが詰まっていることを忘れずにいたいものです。

(ラジオ関西Podcast『やさしい腕時計』 #1『ロレックスって、なにがすごいの? 他を圧倒した「2つの要素」とは』より)