厚生労働省の薬事分科会と専門部会は20日、合同会合を開き、塩野義製薬(本社・大阪市中央区)の新型コロナウイルス感染症の経口薬「ゾコーバ錠」( 軽症や中等症の患者向けの飲み薬) の緊急承認について、現時点では見送り、審議を継続することを決めた。

 2022年5月に成立した改正医薬品医療機器法(薬機法)で創設した緊急承認制度に基づいて可否を議論したもの。緊急承認は、感染症などによる健康被害の拡大を防ぐために急きょ必要な薬や医療機器が対象で、代替手段がないことが要件となる。 医療機器や再生医療製品も対象となり、原子力事故やバイオテロなどの際にも、この制度を使うことを想定している。臨床試験(治験)の途中であっても「安全性が十分確認され、有効性(効果)を推定できるデータが集まれば」使用を認める。承認は2年程度の期限付きとなる。

 審議の結果、「提出されたデータからは、有効性を推定できない」との判断に至った。感染が急拡大する第7波の最中、 ウイルス量を減少させる効果を評価して緊急承認を求める意見もあったが、 動物実験で胎児の骨格形成異常が確認され、妊婦に投与できないとの反発もあった。

 また、アメリカ製の飲み薬2種類がすでに実用化されていることもあり、塩野義が2022年11月以降にも結果をまとめる最終段階の臨床試験(治験)データを待つという結論になった。