兵庫陶芸美術館(兵庫県丹波篠山市)では、2023年2月26日(日)まで、テーマ展「丹波焼の世界season6」が開かれている。同館学芸員の萩原英子さんによるこの「リモート・ミュージアム・トーク」では、2回にわたって今展の見どころを紹介する。第1回は「自然釉(しぜんゆう)の魅力」。

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 兵庫陶芸美術館では、テーマ展「丹波焼の世界season6」を2023年2月26日(日)まで開催しています。日本六古窯の一つに数えられ、800年以上の歴史を持つ丹波焼(丹波篠山市など)は、平安時代末期に東海地方の常滑焼(愛知県)の窯業技術を取り入れて操業を開始しました。本展は、丹波焼の優品からその歴史をたどります。

 また、会期中、一部展示替えをおこないます。やきものは、焼成の仕方や窯の中の雰囲気によってさまざまな表情をみせます。8月21日(日)までの前期展示では「自然釉」を、23日からの後期展示では、「赤土部(あかどべ)」の作品をそれぞれご紹介します。

 自然釉は、焼成中の窯の中で燃料の薪(まき)の灰が器肌に降りかかり、それが熱で溶けてガラス化することによって現れます。これは、灰の量や窯の中の温度、炎の勢い、窯詰めの位置によっても異なります。

 焼成の際に、炎が器体に直接当たらない面を火裏(ひうら)と言います。本作では、火裏は、鮮緑色に発色した自然釉が器面にそって釉なだれを起こしています。他方、炎が器体に直面した火表(ひおもて)は、灰が激しく降りかかり、一部、釉薬化せずに荒々しい器肌を見せています。火裏と火表の境目には亀裂やくっつきが見られ、見る角度によってさまざまな表情を見せています。

 その野趣溢れる色調と造形ゆえに、昭和12年(1937)に古陶磁研究家の杉本捷雄(すぎもと・かつお、1905〜1970)らとともに丹波の地を訪れた重要無形文化財保持者(いわゆる人間国宝)の陶芸家、荒川豊蔵(あらかわ・とよぞう、1894〜1985)がこよなく愛蔵していました。(兵庫陶芸美術館 学芸員・萩原英子)

◆「丹波焼の世界season6」
前期展示:2022年3月12日(土)〜8月21日(日)
後期展示:8月23日(火)〜2023年2月26日(日)