「昭和レトロ」「平成レトロ」がブームの中、アナログレコードも若者の間で人気となっている。有名アーティストも、新曲をレコードでリリースするほどだ。

 一概にレコードといっても様々。主なサイズは、10インチのSP盤、7インチのEP盤、12インチのLP盤の3種類。回転数も、78回転、45回転、33回転と3種類ある。その他にも、SP盤では材質も違うし、ソノシートなどもある。

 そんなレコードだが、今、若者の間で流行しているのは、主にLP盤のようである。「聴く」以外にも、大きなジャケットがインテリアとして映えるからだ。レコード世代が“ジャケ買い”していたように、オシャレなものやアートなもの、かわいいものなど多種多様なデザインが、世代を越えてウケているのだ。それに、レトロ感もある。

 また、LP盤はアルバムのため収録曲が多く経済的なので、若者には買いやすい。もちろん、レコードの音も、デジタルの音に慣れた耳には新鮮に聴こえることもあるだろう。

 レコードでしか音楽を聴けなかった世代とは違い、いわば、ファッションアイテムとして注目を浴びている面が大きい。だが、アイテムとして終わらせるには惜しいほど、レコードは奥が深い。その面白さを、若者には知ってもらいたい。

 例えば回転数。45回転を33回転で再生するとスローテンポになるし、その逆だとアップテンポになる。ラジオ番組で、この回転数を間違って放送すると不体裁になる。が、あえて回転数を変えて放送することもある。

 ラジオ関西(兵庫県神戸市)で1980年代に放送されていた番組『気ままなカフェテリア』(81年放送開始)では、33回転のLP盤収録曲を45回転で再生することで、アップテンポにして番組テーマに使っていた。こういった遊び心も、レコードならではないだろうか。余談だが、45回転の女性歌手の歌を33回転で再生し、男性が歌っているようにして聴くという、個人的な“お遊び”もある。

 かつてのレコードがCD化・デジタル化されても、オリジナルの音はレコードである。そんな有名歌手のオリジナル音源に、若者が触れることのできる機会が訪れたこともレコード・ブームの恩恵、レコードファン冥利に尽きるだろう。

(文=ラジオディレクター・佐々木孝昌)