サッカーの天皇杯(天皇杯 JFA 第102回全日本サッカー選手権大会)は、7日、準々決勝の4試合が行われる。2度目のカップウイナーを目指すヴィッセル神戸は、同じJ1の鹿島アントラーズとノエビアスタジアム神戸で対戦する。キックオフ予定は午後7時。この一戦のメンバーが発表され、ヴィッセルは3日に行われた明治安田生命J1リーグ第28節の京都サンガF.C.戦から大幅に先発を変更。けがから復帰したFW藤本憲明選手が今シーズン公式戦で初めてスタートからピッチに立つことになったほか、MF扇原貴宏選手もスタメンに名を連ねている。一方で、MFアンドレス・イニエスタ選手、FW大迫勇也選手は京都戦に続いてメンバー外となっている。

 J1残留争い直接対決で京都に0-2と敗北。「ダメージは非常に大きかった」と吉田孝行監督も振り返るように、チームとしてもショックは大きかったのは否めない。そこから中3日でやってくるのは、今シーズン、ヴィッセルがただ1つ、タイトル獲得の可能性を残した大会、天皇杯。ただし、その直後となる10日にはJ1残留に向けて大事なリーグ戦の試合も組まれているため、「現実的にJ1残留というのが一番、自分たちの大事なところ。ただ、その残留を戦う上で、チーム内の競争というものがなければ、やっぱり成し遂げられないと思うので、まだ残りのリーグ戦は8試合あり、そこに向けてチーム内での競争というのを意識して、天皇杯に臨みたい」という指揮官は、「天皇杯を軽く見ているとか、そういうことでは全然ない」と前置きしつつ、「出ていない選手にもチャンスを与えたい」と、今回のカップ戦はフレッシュな陣容で臨むことを、前日会見で明言。そのとおりのメンバーがピッチに並ぶことになった。

 それでも、出番に、そして、勝利に飢えている選手たちの、この一戦にかける意気込みは強いものがある。けがでの長期離脱を経て、京都戦で約半年ぶりにピッチに立ち、今回の天皇杯で満を持して先発となる藤本選手もその1人。「チームの雰囲気、チームの輪というのを大事にしていきながら、結果にもこだわっていきたい。結果が出ると自ずとみんなモチベーションも出てくるし雰囲気もよくなると思うので。まず、やっぱり結果」と、勝利とゴールに意欲満々。「いつでもいける準備は自分自身してきたので、個人としても結果を残して、チームに恩返しをするとともに、ファン・サポーターに喜んでいただけたらなと思います」と語る背番号21は、ヴィッセルきってのムードメーカー。そして、天皇杯の鹿島戦といえば、ヴィッセルが初優勝を成し遂げた「天皇杯 JFA 第99回全日本サッカー選手権大会」の決勝、国立競技場でゴールを決め、ヒーローとなった一戦を覚えているサッカーファンも少なくないだろう。「『鹿島キラー』『天皇杯男』というのは、内緒にしておいてください!」と明るく話す藤本選手の得点に、今回こそ期待せずにはいられない。

 そして、今夏に加わったMF小林祐希選手も、彼なりの表現で、この一戦への気合いを込める。「一発勝負だし、勝てば上がある。1試合増えるし。タイトルに向けて、勝ちたい」という背番号49は、前日会見で記者からの「リーグの残留争いがある中で、すごく難しい状況にいると思うが、その中で天皇杯を勝っていくことがプラスの要素になるのでは……」という質問に、「勝つことに対してマイナスの要素というのはないですよ、どう考えても」と強い調子で返答。「勝って次のリーグにつなげるというのは、もうみんな思っていることだし、それは話さなくてもわかることなんで。俺らはできることをやって、どんなメンバーで出ようが、どんな試合だろうが、練習試合だろうが、勝つために毎日練習しているので、それはもちろん勝ちに行きます」と力強くコメント。「(サッカーは)一緒にピッチに立ったらゴールに向かってみんなで攻めていく、ゴールを守るっていう、シンプルなスポーツ。(チームの)連携がどうこうというよりも、自分のプレースタイル的にもチームメイトの良さをいかしてあげるのが自分の仕事だと思っているので。試合中でも周りを見ながら、アクションを起こしながら、リアクションを取らなきゃいけないときもあるし、いろんなことを想定してピッチに入りたいと思います」と、その卓越したパスセンスで周囲を盛り立てる。「なにより楽しまないと。楽しくない仕事をしているときが一番はかどらないと思うので、楽しくサッカーできていることに喜びを感じながらプレーしたい」と、この1試合にかける小林祐希選手の活躍からも目が離せない。

 鹿島とは今シーズンのリーグ戦で1分け1敗。ホームでは3月11日のJ1第4節で0-2となすすべなく敗れ、アウェイでは大迫選手のゴールで先手を取りながら終盤に追い付かれ1-1のドローとなっている。当時から鹿島は監督が岩政大樹氏に交代となっているが、J1では上位争いを展開中。常勝・鹿島は、この天皇杯のタイトルを取るべく、気合いを入れてアウェイに乗り込んでくることは容易に想像ができる。

 今週のSNSでは、DF槙野智章選手が「こういう時こそ、明るく元気に! 団結でしょうが‼ Vamos VISSEL」というコメントとともに、イニエスタ選手や扇原貴宏選手との動画を発信して前を向けば、櫻内渚選手も「選手は前を向いて戦い続けるから。最後までトモニイコウ。お願いします。」と述べ、あきらめない思いを伝えたうえでサポーターに共闘を呼びかけている。艱難辛苦が続く今シーズンのヴィッセルだが、選手に、チームに、まだ活力は残されている。そして、今、勝利こそ一番の良薬であることは間違いない。閉塞感漂う雰囲気を打破するためにも、一発勝負のカップ戦、勝手知ったるノエスタで、クリムゾンレッドのサポーターとともに、勝利とベスト4進出という喜びをつかみ取りたいものだ。

ヴィッセル神戸 メンバー
【先発】
GK 18 飯倉大樹(C)
DF 34 尾崎優成
DF 14 槙野智章
DF 3 小林友希
DF 19 初瀬亮
MF 20 井上潮音
MF 49 小林祐希
MF 33 扇原貴宏
MF 31 中坂勇哉
MF 7 郷家友太
FW 21 藤本憲明

【リザーブ】
GK 1 前川黛也
MF 2 飯野七聖
DF 17 菊池流帆
DF 26 櫻内渚
MF 5 山口蛍
MF 22 佐々木大樹
FW 11 武藤嘉紀

監督 吉田孝行