阪急電鉄(本社・大阪市北区)は、10月1日から列車内のセキュリティを強化するため、神戸線の1列車(8両編成)に防犯カメラを設置し、試験運用する。
 
 2021年、京王線(東京都調布市)特急の乗客切り付けや九州新幹線の車内放火未遂事件などが相次いだ。走行中の鉄道での事件をいかにして防ぐかが課題となっており、阪急電鉄は十分な検証結果が得られるまで試験運用を続ける。

 防犯カメラは、車両の連結部(妻戸)付近と、乗降扉の上部に設置する。
 車内の映像や音声をカメラ内のメモリーに記録してサーバーにデータを送信し、そのサーバーを通じて列車の外からでも状況を確認できるという。なお防犯カメラ付近には、乗客へ設置を知らせるステッカーを掲示する。録音・録画データは一定の期間(1週間程度)を経過した段階で自動的に削除され、警察など捜査関係者からの要請を除き、外部へ開示されることはない。

 国土交通省は首都圏・近畿圏・中京圏の3大都市圏で、鉄道車両の防犯カメラの設置義務化を検討している。特に首都圏は、2021年の東京五輪・パラリンピックを契機に普及率が上昇した。

 近畿では、JR西日本が2023年度末までに京阪神エリアの新快速と、関空・紀州路快速(大阪〜関西空港・和歌山間)の全車両(計約1200両)に防犯カメラの設置を目指している。山陽・北陸新幹線の約8割と関空特急「はるか」の新型車両には導入済み。
 私鉄では京阪電鉄と大阪メトロが一部の路線で導入している。阪神電鉄は2022年5月から大阪梅田〜新開地間の1編成(普通車)で人工知能(AI)を搭載したカメラを導入試験中で、9月に車内にカミソリが置かれた事件の犯人検挙につながった。近畿日本鉄道は2024年秋に導入する新型一般車両に設置する見込み。

 阪急電鉄は、将来的に運転指令所などからリアルタイムで列車内の状況を把握して、異常発生時に迅速な対応ができるよう対策を検討している。