今日は鏡開き。お正月はとくにお餅と縁が深いですね。毎年いろいろなアレンジレシピが話題となるなど、調理方法も豊富でついつい食べすぎてしまいがちなお餅ですが、そうなると気になるのが体重増加です。皆さんは、ご飯やパンと比べて「お餅は太りやすい」と聞いたことはありませんか。
はたしてそのうわさは本当なのか? 太りにくい調理方法や食べ方はないのでしょうか?
包装餅・鏡餅などを製造販売する、前原製粉株式会社(兵庫県姫路市)の代表取締役社長・前原啓作さんに、その真相について聞きました。
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――さっそくですが「お餅は太りやすい」というのは本当でしょうか?
【前原啓作さん(以下、前原さん)】 太るか太らないかは摂取量の多さ、そして、一緒に食べる食材のカロリーなどに左右されますので一概には言えないと思います。お餅はおいしいので、ついついたくさん食べてしまいがちです。食べ過ぎてしまった結果、自分が思っている以上にカロリーを取ってしまうことから「太りやすい」イメージがついたのかもしれません。
――お餅のカロリーは、100グラムあたり223キロカロリーとのこと。(※1)
[丸 餅(1個/35グラム前後)] 約70〜80キロカロリー
[切り餅(1個/50グラム前後)] 約110〜120キロカロリー
白米のご飯が、お茶碗に軽く1杯(150グラム前後)で約240キロカロリー(※2)なので、丸餅だと3個、切り餅だと2個が、おおよそご飯お茶碗一杯と同じカロリーですね。確かに、普段ご飯は何膳も食べないけれど、お餅なら軽く3個、4個と食べてしまうという方はいらっしゃるかもしれませんね。
【前原さん】 炊き立てのご飯は、おいしくてついついおかわりしますよね。お餅は、加熱して温かい状態で口にしますので、いつもおいしい状態で食べられる、食味的にはある意味「お金のかからない、ぜいたくなごちそう」と言えます。
また、お餅はごはんに比べると消化速度が遅く、ゆっくりとエネルギーに変換されるため「腹持ちがいい」という利点もあります。逆に言えば、食べ過ぎると、ずっと血糖値が高い状態になってしまう恐れがありますので、やはり食べ過ぎには注意が必要です。
――お餅の「太りにくい食べ方」があれば、教えてください。
【前原さん】 一般的に「食物繊維」を多く摂取しますと、糖の吸収を穏やかにして血糖値の急な上昇を防いでくれます。たとえば野菜スープや、具だくさんのみそ汁などにお餅を入れて食べるのは「太りにくい食べ方」と言えるかと思います。
――食物繊維を一緒に取るのが「太りにくい食べ方」のポイントなんですね。野菜やスープと一緒に食べることで、さらに腹持ちも良くなりそうですね!
【前原さん】 きな粉をたっぷりつけて食べるのも良いと思います。きな粉はたんぱく質が豊富(約36〜37%)でありながら食物繊維も多く含まれている(約17〜18%)スゴい食品です。
きな粉にお砂糖を加える方も多いと思いますが、カロリーや血糖値が気になる方は控えめに。おいしいきな粉であれば、お砂糖は無くても十分美味ですよ。
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いかがでしたか?「お餅が太りやすい」と言われるのは、ついつい食べすぎてしまうことが原因としてあるようです。「体重増加が気になるけどお餅を食べたい」という人は、適量を守って、食物繊維を一緒に取ることを心がけてみてくださいね。
【太りにくいお餅の食べ方】
・おいしくても食べ過ぎは厳禁!
丸餅だと3個、切り餅だと2個が、おおよそご飯お茶碗一杯と同じカロリー
・食物繊維やたんぱく質を一緒に取れば、血糖値の急な上昇を防いでくれる
・おすすめの食べ方は、野菜スープや具だくさんみそ汁、きな粉餅など
※1日本食品標準成分表2020年版(八訂)より引用
※2農林水産省ホームページより引用
(取材・文=中口のり子)