▼水泳帽をかぶった子どもが目の前のドローンを見つめ、「上がれ」と念じるだけで機体が宙に浮かんだ。前橋市内で6月下旬に開かれた「県からくり工夫展」での光景だ。近未来を描いた映画やアニメに登場するような技術に、親子連れがくぎ付けになった▼ドローンを動かしたのは脳波だ。水泳帽には電極が取り付けてあり、着用した操縦者の脳波を読み取って、ドローンに「上がれ」という命令を出す仕組み。前橋工科大の朱赤(しゅせき)教授(51)が開発した▼中国出身で、東京大大学院や米・マサチューセッツ工科大で多様なロボットの研究開発に取り組んできた。「体の不自由な人が自分の意思で動けるようになる。脳波で世界が変わる」と説明する。前橋工科大が11、12日に開くこども科学教室でもこの技術を紹介する▼脳波でロボットを動かす朱教授の技術は世界最先端のもの。実用には時間はかかるとみられるが、医療、介護、福祉現場をはじめ、あらゆる分野で活用が期待される▼人間の脳とロボットを結ぶことがどこまで許されるのか。倫理的、社会的な問題も出てくる。技術革新とともに、十分な議論が必要になる▼家事自動化のためのロボット開発も朱教授が掲げる研究テーマだ。筆者は洗濯物を干し、乾いたら取り込み、たたんでたんすに収納するロボットの完成を待つことにする。