▼仕事柄、新聞7紙に目を通すのが日課だ。ニュースを各紙がどんな見出しや切り口で展開するかは楽しみの一つ。ただ、この人は11紙を読み比べるというから驚きだ▼都内で広報コンサルタント業を営む前橋市出身の渡辺秀人さん(60)。毎朝2時間半をかけて200ページ以上に目を通す。同じニュースを比べる「横読み」と、時系列に読み返す「縦読み」を使い分ける▼企業広報に助言するための業務の一環でもあるが、「新聞は情報収集の“主食”」と豪語し、新聞を読む習慣を推奨する勝手連の「新聞党」党首を自認する▼毎月2回ほど新橋の往来で人間観察し、立ち飲み店で居合わせた酔客との世間話を欠かさない。記事で得る知識だけでは「頭でっかちになりがち。庶民感覚をリセットするため」という。読み込む量と質にも増して、その謙虚な姿勢に頭が下がる▼こちらも低姿勢に努めているが、いかがだろう。支持率急落を受けて内閣改造を行った安倍政権である。各紙の世論調査で支持率低下に歯止めはかかったが、V字回復にはほど遠い▼安倍晋三首相が自らを批判する聴衆に「こんな人たち」と発言した秋葉原は、やはり庶民の街。言葉遣いが改まり、閣僚の顔触れは変わったけれど国民はまだいぶかっている。庶民が肌感覚で納得できる「結果本位」を積み上げた先に信頼回復がある。