東京証券取引所第1部に上場する群馬県の自動車部品製造、サンデンホールディングス(HD、伊勢崎市寿町、西勝也社長)は30日、私的整理の一種である「事業再生ADR」を第三者機関に申請し、受理されたと発表した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で海外にある同社の主要工場の生産が減り、業績が低迷。抜本的な再建が必要になったことから、事業を継続しながら金融機関と経営再建計画を協議する。◎スポンサー企業と資本業務提携へ 「雇用を維持」 同社は「生産をはじめ事業活動には影響は出ない。従業員の雇用も維持する」とした。 事業再生ADRは取引金融機関との間で、債務の返済を含めた事業の再建計画を協議する。対象は金融債務のみで一般債務は対象外。同社は複数のスポンサー企業と資本業務提携を検討していくという。 同社によると、新型コロナの影響により、欧州やインド、中国などで都市封鎖が行われ、自動車生産が激減。同社の部品生産は5月中旬に再開されたが、工場の稼働率は6〜7割と低迷している。世界的な景気の減速で需要の本格的な回復時期が不透明なこともあり、申請に至った。 同社は近年、米国の経済制裁を受けたイランからの撤退や、希望退職募集といった構造改革で多額の特別損失を計上。昨年10月には流通システム事業の子会社、サンデン・リテールシテム(伊勢崎市)を売却した。純資産は2016年3月期の約755億円から、19年3月期には約235億円に減少した。 帝国データバンクによると、20年3月末時点の連結ベースの負債額は1648億円(うち金融債権は1002億円)。群馬銀行は30日、サンデンHDとその子会社に対する債権が166億4200万円に上ると発表した。 《事業再生ADR》 過剰債務に悩む企業の問題を解決するために生まれた制度。裁判所を通さずに銀行や取引先と話し合うため、民事再生法といった法的整理より早期の再建が可能とされる。これまでに自動車部品大手の曙ブレーキ工業や大手ジーンズメーカーのエドウインなどが活用している。◎「大きな影響力、心配」…群馬県内に衝撃 先行きに懸念も 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、サンデンHDが私的整理の一種「事業再生ADR」を申請したと発表した30日、県内に衝撃が走った。群馬県経済の基幹産業である自動車産業を支えてきた企業の今後を関係者は一様に心配した。 「群馬県を代表するものづくり企業の一つで、雇用や下請けの面でも大きな影響力があり、心配している」とコメントしたのは山本一太知事。雇用の維持や地域企業との取引継続に万全を期し、事業再生に取り組んでほしいと要望した。 県商工会議所連合会の曽我孝之会長は「サンデンHDの事業に期待していたので大変ショック」と驚く。「群馬県経済における存在感は大きく、良い形で再生してほしい」と期待した。 同社と取引のある県内の自動車部品製造業者は「ニュースで知ったが、状況がまったく分からない」と突然の知らせに困惑した様子。新型コロナの影響で4月以降はどのメーカーからも発注が落ち込んでいる中での動きだったことから「不安になる。なるべく情報を集めて対応したい」と先行きを心配した。◎黒字化も4期続き減収…3月期決算 サンデンHDが30日発表した2020年3月期連結決算は、売上高が前期比25.2%減の2048億8000万円、純損益が22億8700万円の黒字(前期は230億6000万円の赤字)だった。4期連続の減収となった。 新型コロナウイルスの感染拡大で欧州や中国などの工場が休業し、販売が急減。子会社のサンデン・リテールシステム(RS)を売却したことも売上高の減少につながった。一方、サンデンRSの売却益254億円を計上したため黒字を確保した。 営業損益は34億0100万円の赤字(前期8億8900万円の黒字)、経常損益は97億3500万円の赤字(同5億6400万円の黒字)だった。 対ユーロで円高が進み為替差損30億円を営業外費用に計上したほか、リストラに伴う早期割増退職金など構造改革費用134億円も特別損失として計上した。配当は行わず、4期連続の無配当になる。 21年3月期の連結業績予想は未定とした。