こんにちは。恋愛婚活コンサルタントの菊乃です。

郊外の医療機関で働く久実さん(仮名・30歳)は恋愛経験がほとんどありません。

唯一の経験は、学生時代に友人が開いてくれた飲み会で知り合った「彼氏と呼んでいいのかも微妙な存在」だといいます。「付き合おう」と言われて彼氏というものに興味があったから承諾したものの、1〜2か月ふたりで食事をした程度で自然消滅。

そんなことがあったら「合わなかっただけ。次に行こう」ととらえる人もいれば、「自分にも彼氏ができた」と自信にする人もいると思いますが、久実さんの場合は違いました。10年ほども前のその彼とのことを、今も引きずってしまっているのです。

◆人に興味はないけれど、自分がどう見られているかは気になる
はじめは向こうから興味を持ってくれた男性が、やがて自分に興味を失い誘ってこなくなった経験で、久実さんは「自分の何がダメだったんだろう」と考えるようになってしまいました。

「私の何がダメだったと思いますか?」
「それは相手に聞かないと分からないよ。予想でしかないけれど、久実さんがダメってわけじゃなくてただ合わなかったってだけかもしれないじゃないですか。相手には、久実さんから会って話そうとか言ってみたのでしょうか?」
「いや、誘ってこないし、連絡が減ってきて会って話そうとかこっちからは何も言ってないですね」

私は久実さんに「気になるなら会おうって言わなきゃ」と今更なことを伝えながら、気になって彼本人について尋ねてみることに。

「元カレは趣味とか性格とかどんな人だったんですか?」
「昔の事なのであんまり覚えていないんですけど、真面目な人だったと思います」

元カレから連絡が途絶えたという過去には執着しているものの、元カレの人間性には興味がなさそう。もう昔のことなので推測でしかないのですが、久実さんが交際当時も自分に興味がなさそうで受け身すぎたとしたら、そんな女性を何回も誘い続けるのはしんどいのではないでしょうか。

◆私はダメじゃないという“お墨付き”が欲しい
久実さんはご相談に来た当時、婚活らしいことをやっていませんでした。過去の経験から、出会い探しをすることに不安があったそうです。

「もう30歳なんです。私が婚活をやってもダメな人間ならあきらめるし、菊乃さんから見てどうですか?」
「ダメってことはないかもしれないけど。失敗を避けようとしすぎなところはありますね。もしも20代の頃に元カレ以外にもいっぱい男性と会っていたら、今頃どうだったと思いますか?」
「分からないですけど、他にも彼氏がいたかも。結婚もしていたかもしれませんよね」

自分のことを、ダメかダメじゃないかで語りたがる久実さん。自信がなくて、誰かの“お墨付き”が欲しい様子です。

「失敗を避け続けて行動しなかったら、それが大失敗なんですよ。このままアラフォーになったらどう?」
「怖いです。もうダメ人間です」
「ダメ人間って極端な。失敗しないで経験も積まないなら『もう30歳』かもしれないけど、たくさん失敗して経験してみようよ」
「分かりました」

◆申し込みが来てもみんな「ピンと来ない」
久実さんはシフト勤務で土日休みが少ないため、事前に相手とやり取りができ仕事帰りに夜ご飯という初デートもできるマッチングアプリも勧めましたが、マッチングアプリで詐欺被害に遭ったなどという事件を気にして、久実さんはアプリ利用を拒みます。

それで結婚相談所に入会することにしました。結婚相談所は初デートで食事がNGというルールのところが多く、シフト休みだとややお見合いが成立しにくい傾向があります。

おすすめの写真館で写真を撮り、婚活用の服も買い足し、結婚相談所で作ってもらったプロフィールを、私も二重で添削させてもらいました。結婚相談所会員の中で30歳女性はわりと若い方だし、久実さんは国家資格保有で共稼ぎ希望。登録して間もなく数十人の男性から申込がありました。

ところが久実さんは「ピンと来ない」。誰にも興味が持てないというのです。

◆プロフィールや写真だけではわからないことが多すぎる
「この人は顔が怒ってそうで怖いし。この人は趣味が釣りと野球で共通点がないから会っても楽しめないと思う。絶対に太っている人がダメとは思わないけど、こちらの方はちょっと体型が気になるし、特別な共通点もないし」

「確かにもっといい写真使った方がいいとは思うけど、写真って上手なカメラマンにお願いしてもちゃんと笑顔の写真って少ないじゃん。写真を撮られ慣れていないだけかもしれないし、顔が怖いのがたまたまなのか素なのかは、ためしに会って確認しようよ。
趣味が釣りと野球だっていう男性も、女性から興味を持たれやすいよう書いた方が上手かもとは思うけど、この程度の不器用なプロフィールの人ってわりといますよ。久実さんみたいに二重に確認してプロフィールを作り込む人の方が激レアなの。

なんで自分に興味を持ったかは、会って聞けばいいよ。この太めの方もお住まいが近いし、近場で会ってみたら?相手のプロフィールは大目に見て」

「分かりました」

なんとか、数人とお見合いをすることになりました。
しかし、すぐに久実さんから「もうダメ」と連絡が来ます。

◆受け身歴30年、勇気を出して申し込んだのに
申し込んでくれた相手と会うのがあまり楽しみに思えなかったため、自分から男性を探して申して4〜5人申し込みをしてみたという久実さん。なんと、その男性全員から断られてしまったのでした。

「ダメってことはないよ。20代女性でも10人に申し込みしてお見合いって1人成立するかどうかだよ。5人全員に断られるって、久実さんが特別にモテないってわけじゃなくそんなもの」
「そうなんですか?」
「そうだよ。結婚相談所の人に聞いてみれば?5人に断られるのって、断られ過ぎなのかどうか」
「結婚相談所の人は、断られ過ぎじゃないよって多分言うと思うんです」

「それ、確認したの?」と私が聞いてみると、結婚相談所には確認していないという久実さん。

「断られたことじゃなく、妄想で不安になって確認しないことが問題。ショックだと思うけど、そういうところをこれから一緒に直していこう?」

◆人気の男性に断られて、落ち込むことはない
久実さんが申し込みをした男性のプロフィールを見せてもらいました。

「この人たち、多分、わりと人気あると思いますよ。写真も清潔感あるし、“女性にNGにされそうな条件”がみんな一つもないじゃないですか。全員大卒で30代前半だし、年収も一番低い人で480万円だし。
結婚相談所の30代前半の男女比って大体1:2(*)くらいで、同年代の場合は明らかに女性より男性が有利なの(*IBJ日本結婚相談所連盟調べ)」

「そうなんですか!特別イケメンとか高収入ってわけじゃなくても?」
「イケメンとか高収入なら、申し込みが3桁あるかもしれないよ。久実さんが会ってみたいなって思うレベルの男性は、みんな会ってみたいって思っていて人気があるの。この人たちが普通の男性ってことはないからね。
相場を知らなくてたまたま人気がある人に申し込みしただけなんだから、その人たちから断られても気にしないで」

受け身すぎて自分から行動したことがない女性にとって、申し込みは勇気がいることだったのでしょう。それで全員から断られたらさぞショックだったことと思います。

ここで婚活を辞めたらただの失敗になるかもしれませんが、行動し続けるならば、断られたことも自分の立ち位置を知る経験になるだけ。

壁にぶつかったことを、失敗にするのも経験にするのも自分次第です。

久実さんはその後、お見合いが成立する割合や、断った男性について人気があるのかどうか、結婚相談所の人にも確認を入れたそうです。すると私がお伝えしたのと同じ回答を得られて、やっと安心して婚活をスタートしたのでした。

※個人が特定されないよう一部脚色してあります。

<取材・文/菊乃>
【菊乃】恋愛・婚活コンサルタント、コラムニスト。29歳まで手抜きと個性を取り違えていたダメ女。低レベルからの女磨き、婚活を綴ったブログが「分かりやすい」と人気になり独立。ご相談にくる方の約4割は一度も交際経験がない女性。著書「あなたの『そこ』がもったいない。」他4冊。Twitter:@koakumamt