長年仲良くしてきて、なんでも話すことができる友達というのは貴重な存在ですよね。 ですが、そんな友達から実はうとましく思われていたという場合もあるようです。

◆妹のような存在の友人
隅田弓子さん(仮名・33歳・会社員)は、大学生の頃から仲の良い友人(K実さん・派遣社員)と定期的に女子会を開いては近況報告をしていました。

「K実は同い年で、私と同じく独身です。高校生の頃に1人付き合った人がいたらしいのですが、それ以来ずっと彼氏ができなくて悩んでいたんですよ。なので私は彼氏のいるK実を見たことがないんです」

一方、弓子さんには定期的に彼氏ができるので、いつもK実さんはうらやましがっていたそう。

「K実は優しいし性格も良いのですが、引っ込み思案で見た目がちょっと地味なので、最新のメイクを教えたり、一緒にショッピングについて行って服を選んであげたりすることもありました」

そして、アドバイスを素直に聞き入れるK実さんのことを、弓子さんは可愛いなと思っていました。

「歳は一緒なんですが妹みたいな感じで。なんだかK実に頼られると『助けてあげなくちゃ』と思っちゃうんですよ」

◆SNSに“匂わせ写真”?
そんなある日、弓子さんがいつものようにK実さんを女子会に誘ったそう。

「そしたら、妙にあっさり断られたんですよね。いつもは用事があっても『◯日と◯日なら大丈夫なんだけど、どうかな?』と空いている日を教えてくれるのに」

コロナ禍なこともあり、仕方がないのかなと弓子さんは思っていたのですが…。

「ふとK実のインスタを見てみたら、気づかないうちにたくさん写真が上がっていて違和感を覚えました。いつも月に2〜3枚、しかも溺愛しながら育てている多肉植物ばっかりだったんですよ」

K実さんは2人分のおしゃれなランチプレートや、明らかに誰かに撮ってもらったと思われる動物園ではしゃいでいる自身の姿、砂浜に映る2人の影など、いわゆる匂わせ写真をたくさん載せていたそう。

「まさかK実に彼氏が?と思いましたが、すぐ『そんな訳ない、だって何の相談も受けてないし!』と思い直しました。だって、あの子が私にそんな大事なことを言ってこないなんてあり得ないので」

◆LINEも未読スルー
とりあえず弓子さんは「ちょっと、インスタ見たよ。あんなに毎日楽しそうに出かけているのに、私の誘いは断るなんて冷たくない?(笑)」とK実さんにLINEしました。

「きっといつものように『ごめんごめん!いつ会える?』とすぐ連絡があると思っていたのに、3日も既読にもならなくて心配になったんですよ」

そしてまたインスタをチェックすると、K実さんがストーリーズをアップしているのを発見したそう。

「見てみたらK実が私の知らない男とキスしてる写真をアップしていて、あまりのことに『えー!』と叫んでしまいました。と同時に『10数年ぶりに彼氏ができて浮かれてしまい、周りが見えなくなっているのかも』と思いました」

◆豹変した友人
胸騒ぎがした弓子さんは、K実さんにLINE電話をかけました。

「すぐにK実がでたので『今すぐにあのキス写真は削除した方がいい』と伝えたんです。そしたら『あはは、うらやましいんでしょ?私、彼と来月結婚するの』と勝ち誇ったように言われて。『…えっ?いつものK実じゃないな』と感じましたね」

するとK実さんが急に「今までさんざん私のこと馬鹿にして…悪趣味なメイクや服装を教えてわざとモテなくなるように仕向けて楽しんでたんだろ?最低だな」と怒りだしたそう。

◆実は嫌われていたなんて
「はぁ?何言ってんのと思いましたね。イラッとしてつい『自分のセンスに自信がなくて、さんざん私に頼ってきたのそっちでしょ。モテないのを人のせいにしないでくれる?』と怒鳴ってしまったんですよ」

するとK実さんは「彼はありのままの私を愛してくれているし、もうお前のアドバイスなんて何ひとつ守ってねーよ!はいはい、私の方が先に結婚できてムカついているんでしょ?もう2度と連絡してこないで」とまくし立て、電話を切ってしまいました。

「やっぱり彼氏ができたことで心境が変わり、おかしくなってしまったんだと思いました。それにしても、実は私のことそんな風に嫌っていたなんて…ショックでしたね。寂しいですが、もうK実に連絡するのはやめます」

◆今までの時間はなんだったの…?
 それからしばらくして、K実さんとの共通の女友達のところに『結婚しました』ハガキが届いたそう。

「私のところにはこなかったのですが、友達に見せてもらいました。コロナで式はあげないことにしたそうですが…。K実はとても幸せそうな笑顔でしたよ」

K実さんとの今までの時間を思うと、弓子さんは虚しい気持ちになりました。

「あと、ちょっとだけK実に先を越されるなんて悔しいと思ってしまう自分がいて。私って性格悪いですよね」とため息をつく弓子さんなのでした。

<文・イラスト/鈴木詩子>

【鈴木詩子】漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop