今年40歳を迎え、ますます私たちを惹きつける向井理。今年も多彩な役を演じ分け、俳優としての進化が止まりません。

先クールの『婚活探偵』(テレビ東京系)ではハードボイルドを気取りながらも、女性に不慣れでぎこちなく婚活に励む探偵役で話題をさらいました。

この春クールでも2本の連続ドラマに出演。『悪女(わる)〜働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?〜』(日本テレビ系、毎週水曜夜10時〜)では、ヒロインが憧れる先輩を。『先生のおとりよせ』(テレビ東京系、金曜深夜0時52分〜)では、ドSで不愛想な官能小説家…と、全く違う役どころを演じ分けているのです。

◆向井理はなぜ、どんな役を演じても馴染むのか
向井理といえば、塩顔ハンサムの代表といえるお顔立ち。そして182cmの長身と小顔で、スタイルも抜群です。見た目のスマートさに加え、向井は知性的な佇まいを持ち合わせています。筆者が彼に注目したのは、彼が俳優になりたての頃に演じた『のだめカンタービレ』(フジテレビ系)でのチェリスト菊地役。出番は多くなかったものの知的な物腰が印象的でした。

その後、世に向井ブームが訪れてからも、彼の見た目だけでなく、明治大学農学部で遺伝子工学を専攻していたリケダンであることや、大学卒業後はバーテンダーだったこともよく取沙汰されていました。端正な顔立ちでスタイル良く知的、なのにどこか“普通のお兄ちゃん感”があるからこそ、どんな役を演じても作品にすっと馴染むのでしょう。その好感度の高さで、多くの女性を魅了してきました(筆者もそのひとり)。

◆好青年を次々に演じ、30代でさらに進化
2006年に『白夜行』でドラマデビュー後、20代の頃から好青年の役を多く演じてきた向井。『暴れん坊ママ』(フジテレビ系)での優しい保育士や、『正義の味方』(日本テレビ)での爽やかなエリート官僚、『ママさんバレーでつかまえて』(NHK)での優しい年下夫など、覚えている人も多いはず。

30代中頃からは、憧れの先輩・上司的なポジションを演じることも増えました。直近では『わたし、定時で帰ります。』、『着飾る恋には理由があって』(ともにTBS系)などが挙げられます。これらの役はただイケメンで仕事ができる!というだけではなく、ちょっと影があったり弱点があったりするのも特徴的です。そこがまた女心をくすぐる!

◆『悪女(わる)』主人公が一目惚れする“運命の人”
現在放送中の『悪女(わる)〜働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?〜』での役どころも、まさに彼の王道です。本作の主人公は、仕事がデキないけどメゲない新入社員・田中麻理鈴(今田美桜)。各部署のクセ者社員と衝突し、職場の問題にぶち当たりながらも、持ち前の明るさと、先輩・峰岸(江口のりこ)が教える“出世100カ条”を武器に、こずるく、たのしく、成り上がっていくというストーリー。

向井が演じるのは、麻理鈴がひとめ惚れした“運命の人”T・Oさん。主人公と同じ会社の海外事業部でバリバリ働き、女性社員憧れの的です。若い頃から全く変わらない向井のシュッとしたスーツ姿に、大人の男の頼もしさ。「そりゃひとめ惚れもするわ!」と納得の佇まいが堪能できます。

◆『先生のおとりよせ』ドSキャラもたまらない
一方『先生のおとりよせ』での向井は、真逆ともいえる…ドSで不愛想な官能小説家を演じています。お隣に住む正反対のドMで明るいフェミニンな漫画家・中田みるく(北村有起哉)と“おとりよせ”ライフを楽しむ物語。向井と北村のセリフの掛け合いがコミカル!数々のグルメドラマを生み出すテレ東ならではの、官能的な実食ショットも見どころです。

好青年だけでなく“ドS”や“変人”的なキャラクターも多く演じる向井。『きみが心に棲みついた』(TBS系)での、ヒロインを精神的に支配して浮かべる猟奇的な薄笑いは印象的でした。先クール『婚活探偵』で見せた、ハードボイルドなのに女性に弱いギャップのある“変人”な役どころもお見事。向井は「そのスマートな佇まいにも関わらず…えっ…」的なギャップもたまらない俳優なのです。それは、彼の高い演技力があってのこと。

◆向井理が演じる役には“法則”があった
こうして振り返ると、向井が演じる役どころは好青年から変人まで実に幅広いですよね。それと同時に、似たような役柄が続かないという法則があるようです。同じ俳優が同じような役どころで出続けていると、どんなにその俳優が好きでも飽きてしまうのが人のサガ。向井の場合は、それが少ないのです。

例えば『S -最後の警官-』(TBS系)で熱血警察官の主人公を演じた後は、『信長協奏曲』(フジテレビ系)で、知的で真面目な家臣役として主演・小栗旬の脇を固めるなど。主演だけでなく、脇で良い味を出すバランスも絶妙です。実際今クールでも好青年とドSの変わり者と全く違う面を見せてくれるからこそ、私たちは向井の魅力を存分に楽しめます。

40歳を迎え、多彩な表現力でますます男っぷりが上がった俳優・向井理。ふたつの顔を、残り2カ月たっぷり堪能しましょう。

<文/鈴木まこと(tricle.llc)>
【鈴木まこと】tricle.llc所属。雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Instagram:@makoto_s.1213