こんなにイケメンで、なおかつこんなに男前な俳優が他にいるだろうか?

 現在、毎日放送・TBSのドラマイズムで放送中のドラマ『明日、私は誰かのカノジョ』(火曜深夜以下、『明日カノ』)に出演する福山翔大をみて、思わず考えてしまった。努力と誠実さを滲ませながら、凛とした表情を浮かべる福山の魅力。

「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、男前イケメン俳優・福山翔大の男気あふれる演技力に迫る。

◆「男前イケメン俳優」のトップバッター
 筆者が密かに注目してきた福山翔大のことを形容するのにふさわしい言葉を探してみる。一見すると、爽やかな好青年タイプのイケメンなんだけど、それ以上に芯の強さを感じる。凛々しい眉に、きりっとした眼差しの武士顔。精悍な表情からは、「男前」の一語が浮かんでくる。でも、イケメンであることに間違いはないのだから、ここは、「男前イケメン俳優」がどうやらしっくりきそうだ!

 福岡県福岡市出身で、筋金入りの九州男児である福山。男前のイメージにふさわしく、何かひとつの道をひた走るような情熱的なキャラクターを演じさせたら、彼の右にでる者はいないと思う。

『最愛のひと〜The other side of 日本沈没〜』(2021年)で演じた、妹を溺愛する兄役の忘れがたい名演や、現在フジテレビ系で放送中のドラマ『クロステイル〜探偵教室〜』の元陸上選手役など、力強い演技には、常にどっしり構えた安定感がある。

 それでいて、男泣きの演技をしても、絶対にサマになるだろうなと想像させるところもあるのが、エモーショナルな俳優らしい。とにかく、男前イケメン俳優のトップバッターと言える存在であることは、間違いない。

◆血と汗の熱演をみせた初主演映画
 初主演映画『JK☆ROCK』(2019年)は、そんな福山の男前のイメージとは裏腹な役柄が面白い作品だった。大学生の海江田丈(福山翔大)は、助手席に彼女を乗せて、紫色のスーパーカーをキャンパス内で乗り回すボンボンのイケメン。その様子を見た他の学生たちは、「嫌な感じ」と口々に言う。通称「パープル王子」は、映画冒頭では、男前どころか、女子高校生によるガールズバンド「DROP DOLL」のドラマ担当・桜(早山千尋)から容赦なく罵倒されるように、“クソ男”でしかなかった。

 それでも、訳あってロックカフェのオーナー照雄(西村まさ彦)に預けている愛猫の潤む瞳にほだされ、DROP DOLLをコーチすることになると、音楽の力によって男気を発揮する。ばらばらなバンドサウンドを聴いて見兼ねた丈は、元ロックマン魂を揺さぶられながら、クールさの中にも情熱的な誠実さを取り戻していく。桜へのドラム指導ではつい熱が入り、『セッション』のJ・K・シモンズ顔負けの熱血キャラへの豹変ぶりには驚いた。

 要するに本作は、一度は挫折した男が、ロックへの愛を取り戻す再生と克服の物語なのだけれど、この初主演に全身全霊で挑もうとする福山の懸命さ、誠実さ、気高さが役柄に込められ、体現されることが、どれだけ感動的だったことか。福山の血と汗の熱演が、何より男前であることの証となった。

◆ヘッドライトに照らされる横顔の魅力
 クールキャラと熱血キャラの振り幅が象徴的だったように、福山の魅力が溢れるのは、特に表情の演技だ。現在放送中のドラマ『明日カノ』では、それぞれに恋愛感情をこじらせた4人の女子たちの中で、主人公の雪(吉川愛)と同じ店でレンタル彼女として働く彩(宇垣美里)の彼氏・光晴役としての好演が目を引く。

 5日3日に放送された第4話でいよいよ登場した福山を見て、相変わらず男前だなと感心したのは、筆者だけではないはず。彩との待ちあわせ場所にさりげなく登場する雰囲気、青空の下、喫煙所で電子タバコを吹かす横顔、あるいは、トイレから戻ってきた彼女の浮気を疑ってじゃれつく感じなど、いずれの場面でも素晴らしい表情をみせている。

 光晴は、自分の理想を押し付けてしまうところがあり、多少の噛み合わなさには無頓着で、ちょいダメ二枚目キャラだけど、福山が演じるからこその男前キャラに転じた表情が印象に残る。

 美容外科手術を繰り返してきた彩は、とにかく見た目に囚われている。そんな外見至上主義の彼女に対して光晴は、本音をぶつける。これまで美貌に神経症的に努力を重ねてきた彩の気持ちは複雑だけれど、光晴の言うように人は見た目だけではない。心にトラウマと傷を負った彩と、誠実な言葉を突きつける光晴。ふたりが言い合う夜の歩道橋で、車道を走る車のヘッドライトに照らされる福山の必死な横顔が、ひときわ魅力的に映っていた。

◆男前の福山だからこその説得力ある名演

 光晴の言葉でトラウマが呼び覚まされ、彩は思わず涙する。そんな彼女に対して、言い過ぎたと言って、そっと抱きしめるフォローも忘れない光晴の誠実キャラにほっとする。ソフトでいながら、温かい包容力を感じさせ、嘘のない言葉で相手を傷つけたままにはしておかない心意気。それが、ただイケメンじゃない、精神と心に裏打ちされた男前の福山だからこその説得力ある名演だった。

 翌朝、ワイシャツにネクタイを結びながら、食卓の準備を手伝う姿も、清々しく、キャラにまったくブレがない。光晴役は、間違いなくはまり役だけれど、俳優として誠実さを決して忘れない福山の努力の成果と読むこともできる。彼の経歴を聞いて驚いたのは、上京前に何と1200本の映画作品をみていたことだ(ちなみに映画監督志望の筆者が日芸受験前にみていた映画作品は、福山の半分のわずか600本程度!)。

 過去の映画作品に裏打ちされた確かな演技力。この地道な努力の貯蓄が、福山をどれだけ骨太な俳優にしていることか。彩がレンタル彼女として働いていることがいよいよバレてしまう『明日カノ』第5話、福山はどんな表情を浮かべるのだろうか?

<文/加賀谷健>
【加賀谷健】音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。
ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu