人の趣味嗜好は、変えようとしても簡単には変えられませんよね。「恋愛における好みも、なかなか変わらないものなのかもしれません」。自分の恋愛経験を通してそう実感したと語るのは、金融企業に勤める吉永幸子さん(28歳・仮名)。

◆うまくいってると思ったのに…年下彼氏と破局
吉永さんは社内の3つ下の年下彼氏と約1年にわたり交際をしていました。周りの誰もが二人のことを順風満帆だと思い見守ってくれている。そんな風に思っていた吉永さんでしたが、このカップルはある日突然、まさかの理由で破局を迎えます。

「日に日に慣れなのか、お互いの関係性が薄くなったというか、デートや連絡の頻度が減っているなとは感じていました。でもある日突然、無茶苦茶な理由で振られるなんて思っていなかったです。

彼から『もう少し他の女性のことも知ってみたいから別れて欲しい』って言われたんです」

彼のふんわりした心とは反対に、彼に入れ込んでいた吉永さんはショックのあまり涙も出なかったと言います。

「引きとめても無駄だと思ったし、彼に気持ちがないのに付き合い続けるのも良くないと思い、別れに同意しました。結婚も考えていたので、かなりショックでしたね……」

破局後、吉永さんは会社の人事異動で地方に異動となり、元カレと職場で顔を合わせることがなくなったことは不幸中の幸いだったようです。

◆元カレがYouTubeのカップルチャンネルを開設
破局から1年、元カレとはインスタだけはまだつながっていた吉永さん。

「彼のインスタを見ていたら新しく彼女ができたようで、インスタに写真がアップされるようになったんです。新しい彼女は元モデルのようで、私と同じく彼よりも年上でした」

職場の同僚から「あれ見た?」と聞かれて知ったのは、YouTubeのカップルチャンネル。元カレがYouTuber活動をしている彼女に誘われて開設したそう。

「彼女さんはとても“べっぴんさん”で、何も言えないなと思いました。悔しい気持ちと、見たくないけど見てしまったカップルチャンネルの幸せそうな二人の様子を見て、古傷が痛みました。情けないことですが、まだ未練があったのかもしれません」

◆元カレとの再会で言われた“最低な一言”
しかし、そのカップルチャンネルは1年も経たずして閉鎖。職場で回ってきた噂によると、元カレカップルは破局したとのことでした。

それからしばらくして、吉永さんのもとに元カレから突然の連絡が。彼に対する未練の気持ちに背中を押されてしまい、久しぶりに再会することになります。

「お昼ご飯を食べに行き、楽しく盛り上がりました。すると彼から突然、聞いてもいない例の元モデルの彼女の愚痴が始まったんです。『可愛かったけど性格が悪かった』『お金についてだらしなく将来性がなかった』『年上なのに真面目に働いてなかった』とか」

ひとまず黙って彼の話を聞いていた吉永さん。すると元カレが…、

「『結局、幸子みたいな真面目に働いてしっかりした女が良かった』と言ってきました。さすがに私も少し期待をしてしまうじゃないですか。そしたら最後に、『やっぱり女は顔じゃないな』とポロッと口にしたんです」

つまり私の顔がNGだったってこと? 新しい彼女は結局顔で選んでたの?っていうか遊びたいから別れたくせに何こいつ…。

そんな怒りの感情がエンドレスに巻き起こり、その場は強制的にお開きに。「もうこの男とは会うことはないな」と吉永さんは思ったそうです。

◆人の好みはアップデートされにくいもの?
そんな悪夢の再会から約半年、元カレのインスタが久しぶりに投稿されます。

「あの男、また新しい彼女の写真を投稿してたんですよ。正直、あの言葉を聞いて今後は性格重視で彼女を作るのかと思ったら、またもキラキラ系の美人インフルエンサーと交際を始めていました」

もしかすると外見だけではなく内面もしっかりした女性なのかもしれませんが、元カレにとって外見はいつまでたっても譲れない条件だったようです。

そんな吉永さん自身も、実は元カレがつぶやいた一言に影響を受けていました。

「元カレが私の性格や真面目さを評価してくれたことは本音だと思っています。なので、以降も仕事やプライベートにおいて真摯にひたむきに生きてきました。そうしたら、そんな私の性格を見てくれる異性が現れて、今付き合っています」

幸せそうに話す吉永さん。新しい彼氏は、若干元カレと雰囲気やタイプが似ているとのこと。

「外見にこだわる元カレを反面教師にするつもりが、結局自分もそんな元カレにいつまでも気持ちを寄せてしまっていると気づきました」

人の好みはそう簡単に変わらないものであると思い知り、吉永さんは複雑な気持ちになったのでした。

―シリーズ「許せない一言」―

<文/萩ゆう イラスト/ただりえこ>