周りにいる友達の私生活が充実していると、つい自分と比べて卑屈な気持ちになってしまう時ってありませんか? 今回は、そんな女性のエピソードをご紹介しましょう。

◆婚活を始めたものの
中山紘子さん(仮名・29歳・契約社員)は、昨年からマッチングアプリに登録して婚活を始めました。

「実はここ何年かで、私の女友達のほとんどが結婚してしまって。何だか急に焦ってきちゃったんですよね」

さっそくマッチングした男性何人かとデートしてみた紘子さんでしたが、つい友達の夫のスペックと比べてしまい、なかなかお付き合いをする踏ん切りがつきません。

「私の友達の旦那さん達は、イケメンで有名企業に勤めていたり、お医者さんだったりするので…何だか張り合ってしまうんですよね。だって、どうせなら自慢できる人と結婚したいじゃないですか」

◆友人に愚痴を言っていたけれど…?
そんな気持ちを、唯一まだ未婚の女友達(N菜さん・29歳・会社員)によく話していたそう。

「N菜とは、大学生の頃にバイト先で知り合って以来の仲なんです。いつも私の気が済むまで愚痴に付き合ってくれるんですよ」

そんなある日、紘子さんがまたマッチングした男性の愚痴を聞いてもらおうと、N菜さんに電話をしました。

「そこそこの企業に勤めているまぁまぁのイケメンとマッチングできたと思ったら、そいつがマルチ商法に勧誘してきて。『私の貴重な時間を返せって感じだよね!』とN菜に話すと、なんかいつもと様子が違くておかしいなと思いました」

N菜さんの様子が違う理由が判明します。

◆嫌な予感的中!
嫌な予感がした紘子さんが「も、もしかして彼氏できた?」とたずねてみると…。

「そしたらやっぱりそうでしたね。どんな男か気になったのであれこれしつこく聞いてしまいました」

最近引っ越しをしたN菜さんが近所を散策していたら、野菜の無人直売所があったのでのぞいてみると、いかにも新鮮なスナップエンドウやトマトなどが並んでいたと言います。嬉しくなり手にとって見ていると、ある男性から声をかけられたそう。

「それがYさん(27歳)で、その無人直売所の管理のバイトをしながら、友達とカフェを共同経営している磯村勇斗似の可愛らしいタイプらしいんです」

◆友人の彼のスペックは?
その直売所で偶然何度か会い、話をするようになった2人は、お互いカフェ巡りが好きだったこともありカフェデートを重ねているうちに、お付き合いに発展しました。

「まぁ磯村勇斗似っていうのはうらやましいですが、バイトしないと生活が厳しいカフェ共同経営者なんて、絶対嫌だなと思いました。私だったらまず付き合いませんね」

そんな本心は隠して「おめでとう!良かったね」とN菜さんを祝福したそう。

「N菜も今は浮き足立っているけど、どうせすぐ結婚するには頼りない相手だと思い直して別れるに違いないと思っていたんです」

しかし、紘子さんが想像しなかった展開が待っていたのです…!

◆正直、悔しい!
ですがその2ヶ月後、N菜さんから「Yさんと結婚することになった」と告げられてしまいました。

「はっきり言ってショックでしたね。また先を越されてしまったという悔しさから『そんなお金のなさそうな人と結婚したら苦労するよ』とつい意地悪を言ってしまったんですよ」

するとN菜さんから「実はYさんは地主の息子で、直売所で売っている野菜はご両親が趣味でやっている畑でとれたものを、ご近所の方達に喜んでもらえるように格安で売っているだけで、それをYさんが管理しているだけだった」と聞かされたそう。

「『なんだよ、それ!バイトじゃなくて金持ちの道楽じゃん』と思いました。経営しているカフェも私が想像していたのよりずっと立派で人気もあるみたいだし…とにかくN菜がすごい男を捕まえて玉の輿に乗ったことが耐えられなくなってしまって…」

「私がマッチングアプリで失敗ばかりしていること、ホントは笑っていたんでしょ?当てつけみたいに金持ちと結婚するとか意味わかんない」と怒鳴ると、紘子さんは電話を勝手に切ってしまいました。

◆自己嫌悪してしまう
「無茶苦茶なこと言っているのは自分でも分かっているんです。でも何で私だけ素敵な男性と縁がないんだろうと思ったら悲しくて、悔しくて…その後、自己嫌悪に陥りました」

寂しくなった紘子さんは、なぐさめて欲しい気持ちになり、昨年結婚してから疎遠になっていたM美さん(30歳)に連絡を取ってみました。

「一通り事情を話したら『バカだね、そういう時はN菜さんに擦り寄って旦那の金持ちな友達を紹介してもらうんだよ』とM美に言われて、ハッとしたんですよね」

でも自分は、そんな風にN菜さんを利用するために長年友情を築いてきた訳ではないと胸が痛くなったそう。

◆マイペースが1番!
「結局私は、N菜に甘えた気持ちがあってついあんな態度をとってしまうし…男性の内面よりスペックで価値を測ったりして、ホント自分勝手過ぎだなと気がついたんです。そりゃ良い出会いなんてある訳ないですよね」

それからすぐにN菜さんに謝りの電話をし「寂しくて、自分を見失っていた」と話しながら泣いてしまったという紘子さん。

「それ以来、マッチングアプリはお休みしています。周りの友達と自分を比べるのはもう止めにして、マイペースでいこうと反省しました」

<文・イラスト/鈴木詩子>
【鈴木詩子】漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop