梅雨に入り、この4月から放送されてきた春ドラマも次々と終幕を迎えています。今クールも全ドラマをチェックした筆者が独断と偏見で、観てよかったドラマをジャンル別に「名作ベスト5」としてご紹介します。

◆お仕事ドラマ部門:今田美桜『悪女』、山下智久『正直不動産』
新しく何かがはじまる予感がする春は、フレッシュなお仕事ドラマが観たくなるのは筆者だけでしょうか。今年の春ドラマは正直お仕事ものがあまりなくて残念……という印象でしたが、数少ない2本共が良作でした!

デキない…しかしメゲない新入社員・田中麻理鈴(今田美桜)が、持ち前の明るさで周囲を巻き込みながら出世していく『悪女(わる)〜働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?』(日本テレビ系)。今田美桜が演じた主人公・麻理鈴の前向きに頑張る姿に元気をもらった人も多かったでしょう。スーパーウーマンの峰岸先輩(江口のりこ)をはじめ、多くの女性社員にスポットが当てられ、女性の社会における生きづらさを伝えるかに見えた本作。最終回では性別を超えた働き方の問題についても触れ、一人ひとりが自分らしく多様な形で働ける未来を少しだけ期待させてくれました。

そしてもう一作は、大きな反響を集めた『正直不動産』(NHK総合)。口八丁でNo.1の成績を収めていた不動産営業マンの主人公・永瀬財地(山下智久)が、ひょんなことから“嘘”がつけなくなり“正直営業”せざるを得なくなりました。思うように売上がたてられないなか、嘘をつけず悪戦苦闘しながら地主・買い主・売り主と真摯に向き合う山Pの姿が印象的。本音を伝えること、正直でい続けることが難しい現代において、その大切さを気づかせてくれた作品でもありました。

◆学園ドラマ部門:熱くて泣ける、間宮祥太朗『ナンバMG5』
今春クールで、個人的No.1のドラマでもあった『ナンバMG5』(フジテレビ系)。筋金入りのヤンキー一家の次男として生まれ育ったバリバリヤンキーの難破剛(間宮祥太朗)が「ヤンキーをやめて、普通の高校生活を送りたい」と、家族に内緒で普通の高校に入学する“逆”高校デビュー物語です。

家族の前では特攻服に金髪のバリバリヤンキー姿の剛ですが、高校では優等生で美術部…第7話では生徒会長にまで就任するという二重生活を送っていました。ヤンキー抗争や淡い恋、そして友情ももちろん見どころではありましたが、ハマったのは難破家の家族愛!

やたらアツい父(宇梶剛士)に母(鈴木紗理奈)。高校時代に関東を完全制覇し“最強”のカリスマと崇められる兄(満島真之介)は、義理人情に厚く曲がったことが大嫌い。「何その髪型?何その服??笑」というヤンキースタイルながらも、かっこよく優しく家族想いの兄ちゃんにはキュンキュンでした。強すぎるふたりの兄を誇り、純粋に慕う妹(原 菜乃華)もまた超キュート。そしてなんといっても家族の愛犬である芝犬・松(豆三郎/声・津田健次郎)がとにかく可愛い過ぎる…家族のなかで一番はじめに剛の二重生活に気づき、ずっと剛と家族を見守り続ける健気な姿にもう癒されまくりでした!

6月22日(水)放送の最終回では、二重生活全てが明るみに出てしまった剛が、友人・学校・家族とどう絆を結び直すのか楽しみでなりません。

◆恋愛ドラマ部門:上野樹里『持続可能な恋ですか?』
個人的に、恋愛ドラマで盛り上がるのは夏・冬が多いですが、この春ドラマのなかで『持続可能な恋ですか?〜父と娘の結婚行進曲〜』、通称『じぞ恋』(TBS系)は、かなり良作だったと思います。

ヨガインストラクターとして独立を目指す娘・杏花(上野樹里)と、妻に先立たれた辞書編纂(へんさん)者の父・林太郎(松重豊)親子の婚活をめぐる人間模様を描いた本作。爽やかな世界観に引き込まれるなかで、切なくなったり、ときめいたり。そして何より多様化する現代ならではのリアリティーを感じさせてくれる作品でした。

主人公・杏花と、恋愛関係になるシングルファザー・晴太(田中圭)はもちろん素敵だったのですが、個人的には杏花の幼馴染で自分の気持ちにまっすぐ彼女を愛する颯(磯村勇斗)にキュンキュン!当て馬役ではありますが、相手を想う優しさに切ない表情、そして途中海外で自分をステップアップさせる男らしさまで…磯村勇斗の良さが爆発的で、応援せずにはいられませんでした。

◆事件ものドラマ部門:二宮和也の日曜劇場『マイファミリー』
「娘の誘拐事件だけで、ワンクール(3カ月)ももつのか?!」と思いながら観始めて、見事にハマったのは日曜劇場『マイファミリー』(TBS系)でした。ゲーム業界の新時代を切り拓いたともてはやされるゲーム会社社長・鳴沢温人(二宮和也)と、SNSフォロワー数1万人超えのちょっとセレブな妻・未知留(多部未華子)のひとり娘・友果(大島美優)が誘拐されたところから、物語は始まりました。(※以下、ネタバレを含みます)

第3話で友果は無事ふたりの元に戻ってきたものの、次は温人と未知留の友人で弁護士の三輪(賀来賢人)の娘も誘拐されてしまいます。さらに、実は同じく友人で元刑事の東堂(濱田岳)の娘も4年前に誘拐されていたこと…しかも、温人と三輪の事件は東堂が自分の娘の誘拐事件の真相をつきとめるために起こしていたことが発覚。衝撃的な展開で私たち視聴者をひきつけました。

「真犯人は誰なのか?」という謎解き要素もありましたが、家族を大切にするとはどういうことなのか、家族や友人・仕事仲間と正面から向き合う難しさなど、考えさせられる要素も多々。渋くてクールな葛城刑事を演じる玉木宏を見たくて視聴していた側面も否定できません(笑)が、娘を誘拐された父親でありながら、誘拐犯にならざるを得なかった東堂の苦悩を見事に演じた濱田岳の演技には、個人的に今クール最優秀助演賞を贈呈したいほど胸を締めつけられました。

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沢山の良作ドラマで楽しませてもらった今春クール。ここで紹介したドラマは、次クールまでにもう一度見返してしまいたくなるものばかりです!もし気になるドラマがあれば、ぜひ見逃し配信などでチェックしてみてください。

<文/鈴木まこと(tricle.llc)>
【鈴木まこと】tricle.llc所属。雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201