こんにちは。恋愛婚活コンサルタントの菊乃です。

親に結婚の圧力をかけられて婚活を始めるという人は多いです。親が娘や息子の結婚を心配するのは当然なのかもしれませんが、口の出し過ぎは子どもの婚活の足枷(あしかせ)になることもあります。

◆昔のエビちゃんOL服を着て、母親の友人のもとで婚活
幸子さん(仮名・30歳)が相談に来た時に「1990年代生まれで、“子”が付く名前って古風だな」とちょっと思ったのを覚えています。実際にふんわりブラウスに膝丈ベージュスカートの幸子さんは、今時の30歳には見えませんでした。

「30代になったら結婚が難しくなると思って、29歳の時に結婚相談所に入会しました。でも、30代後半以上の年上男性としか会えなくて……」。それで、私のところへ相談に来ることにしたそうです。結婚相談所のプロフィール写真を見せてもらったのですが、ピンクのアンサンブルにベージュのフレアスカートで2000年代に流行ったエビちゃんOLの生き残りです。その服は仲人から勧められたとのことでした。

「母の友達が結婚相談所を始めたので、母の勧めもあってそこに登録したんです。自分で探したわけではないですが、大手の結婚相談所連盟に加盟しているし、母の知り合いだから安くしてもらって登録できたのでいいのかなと思って」とのことでした。

幸子さんのお母様の友達のように、副業や退職後に結婚相談所を始める方は多く、年間で新規開業は1000軒以上あると思います。例えば、結婚相談所開業最大手のIBJの2021年新規開業件数は700件以上。すぐに集客できるわけでもないので、まずは友達などに声をかけて集客することが多いようです。

こんなきっかけで、あまり複数社を比較検討せず結婚相談所を決めて入会したけれどうまくいかないという方は、毎年相談にいらっしゃいます。

◆親の顔色をうかがいすぎて身動きが取れない
幸子さんには服装を変えてもらい、写真も撮り直すようアドバイスをしました。今まで申し込みもあまりなくお見合いが成立しても10歳以上年上だったのは、「20年前に流行ったコーディネートのままで、要するに同年代から見たら『ダサい』から」というのは納得してもらえたのですが、写真の撮り直しには難色を示します。

「仲人が良く思わないかもしれないし、写真撮影のときは母も一緒でかわいいねって言われました。だから、撮り直しにくいんですけど」

「え! お母さんと一緒に写真撮ったの!」

おもわず驚いてしまいましたが、婚活写真撮影サービスを行っている方からは29歳女性どころか「40代男性でも親同伴で写真撮影にくる婚活者さんはいる」と聞きます。
高齢者が運営していて、親からの紹介でしか会員が入会しないような結婚相談所も全国にあり、親と一緒に婚活する人たちは一定数いるのです。

仲人や親の顔色をうかがいすぎる幸子さんでは、そこの結婚相談所では何も身動きがとれなそうです。もっと服装についてアドバイスしてくれる結婚相談所もあるし、そもそもそんなに親に情報を共有したりするような結婚相談所の方が少ないので他のサービスの乗り換えも提案しましたが、幸子さんはご相談の時間内には決められないようでした。

幸子さんには、「帰りの電車でアラサーぐらいのカップルがいたら女性側の服装を観察して」と伝えました。

◆洋服選びはいつも母と一緒か、母の買った服を着ていた
幸子さんからはその後、「恋人や既婚女性は、私みたいなフワフワした格好をしていなかったです。というか同年代女性をよく見たら誰も私みたいな恰好していないことに気が付きました。あの結婚相談所のアドバイスに従っていたらダメだと気が付きました」と連絡をいただきました。

なんでもかんでも流行りを取り入れればいいわけではないですが、2000年代のエビちゃんOLコーデは令和では時代遅れすぎますし、それを時代遅れと感じないタイプの男性しか寄ってこないでしょう。

しかし、結婚相談所をやめることは言い出せず、先に年齢に合った服を揃えることから始めました。
幸子さんは服の買い物もお母さんと一緒か、お母さんが買った服を着ることが多かったそうです。幼い頃から同じことを繰り返しているだけなので、同年代たちがそうした選び方をとっくに卒業していることには気が付かなかったとか。

服を変えたら、久しぶりに会った人から「痩せたね」と言われることが多くなったそうです。

◆婚活の前に、まずは親からの自立が必要
幸子さんはその後お母さんが買った大量の服を持て余します。捨てようとすると、「もったいないじゃない」「かわいいのに」とお母さんは反対したそうです。

その都度「どうやって服を処分したらいいんでしょうか?」と質問が来ます。
大人なので親の許可なんていらないと思うのですが、幸子さんは自分の要求を伝えるとか逆らうという発想がないようです。

「親の許可って要らないんですよ。今まで反抗期ってあった?」
「う〜ん。なかったと思います」
「反対を押し切るのか要求を伝えるのか、こっそりリサイクルに持って行って手放すのか手段は任せるけど、婚活の前にまずは親からの自立ですよ」

このままでは、幸子さんの望むような相手との結婚は難しいと思いました。

「もし、幸子さんが付き合った男性が何かあった時に幸子さんより先に自分の親の意見を聞くような人だったらどう?」
「それだと悲しいです。でも母から何か言われたらどうしたらいいんですか?」
「自立って誰かが準備してお膳立て(おぜんだて)することじゃないから自立なんですよ。お母さまの反対を想像したら嫌だなって思うのは分かるけれど、そこは勇気をもって挑むしかないよ」

幸子さんは親に隠れてリサイクルショップに持っていくことにしました。いつも着ている服がなくなっても親は気が付かなかったそうです。

◆「母は軽く毒親なのかなって思います」
しばらくして、幸子さんは一人暮らしを始めました。親に紹介された結婚相談所をやめたのはそのタイミングでした。ご相談にきてから約半年後です。

親から離れて、幸子さんは楽になったようです。

「離れてから最近、うちの母は軽く毒親なのかなって思います。前もそういう気持ちはあったけれど、母を否定するのは自分を否定するようで認められなかった。でも、母と私は別の人間なんですよね」

◆断りたい相手でも、母に言われると断れなかった
「母からは医者か公務員か高学歴男性と結婚した方がいいって言われて、50代の離婚歴がある医者とお見合いしたこともありました。すごく嫌な感じの相手で断りたいのに、『お医者さんだしもう一回会ってから』と言われて、そういうものなのかなと思っていました。結局は医者の方から断られたんですけどね。

私も鵜呑みにしなきゃいいんでしょうけど、なんせ30歳まで親に反抗したことがなくてあんまり友達もいなかったので。なんかズレてるってのがやっと分かってきました」

迷いや葛藤もありましたが、お母さまの支配下から抜け出すことができてよかった。幸子さんご自身の婚活は、まだ始まったばかりです。

※個人が特定されないよう一部脚色してあります。

<取材・文/菊乃>
【菊乃】恋愛・婚活コンサルタント、コラムニスト。29歳まで手抜きと個性を取り違えていたダメ女。低レベルからの女磨き、婚活を綴ったブログが「分かりやすい」と人気になり独立。ご相談にくる方の約4割は一度も交際経験がない女性。著書「あなたの『そこ』がもったいない。」他4冊。Twitter:@koakumamt