遠方にある夫の実家へ帰省

夫は医療関係の仕事に就いているため年末年始にまとまった休暇をとることが困難だったそう。そこで夫の勤務先とも相談し、年始の三が日を過ぎたあたりで帰省することに。子どもたちは環境が変わると夜泣きがひどいので1泊のみになったそうです。
その年は大雪であったため、美紗さんたち家族は自家用車を諦め、東北新幹線を利用して帰省することになりました。ベビーカーに子どもを乗せ、おむつからお土産までたくさんの荷物を抱えて帰省しました。へとへとになりながら夫の実家にたどり着くと、義父母が笑顔で出迎えてくれたといいます。
まさかの母子置き去りでタイ料理やへ
久々の再会を楽しみながらやがて話題はその日の夕飯のことになっていました。義父が何か美味しいものを食べたいと言うので、てっきりおすしの出前でも取るのかと思った美紗さん。ところが義父は駅前にできたタイ料理のお店に食べに行きたいと言い出したのです。

「いつ大声で泣き出してしまうか分からない双子を連れて外食など、到底できるはずがありません。私は義父、義母、夫の三人で楽しんでくるように提案しました。不本意ではありましたけどね」
結局三人で行くことに決定し、夫が出かける前にコンビニで幕の内弁当とお茶を買ってきてくれたそうです。
こんな時にかぎって子どもが突然発熱
夫の実家で一人になった美紗さん。次第に義父母、夫の行動が腹立たしく思えてきたといいます。
「孫を置いてまで外食に出かけるのであれば、何のために苦労して帰省したのかと思いました。夫も、なんでおすしの出前を取ろうとかいう提案をしないのか本当に腹が立ちました」
双子にミルクをあげながら、悔しさと虚しさで胸がいっぱいだったといいます。するとしばらくした頃、双子の長男が突然泣き出したそうです。抱き上げてよく見てみると顔中に湿疹が出ており、少し熱もありました。すぐに夫に電話をかけるも、全く通じなかったといいます。

とことん残念だった帰省
実家に戻るとまだ誰も帰ってきていませんでした。しばらく待っていると酔っぱらった三人が帰って来て、あきれ果てた美紗さんは、子どもと一緒に先に寝ることにしました。
翌朝、寝起きの夫に昨日の一部始終を話し、予定を変更して午前中に家に帰ることになったそうです。夫は、昨夜はお店が地下にあり電話に気づかなかったと平謝りしてきたといいます。幼い子どもを二人も連れてわざわざ帰省したはずがこんな結果になり、悔し涙の美紗さん。
「もともと少し気配りができない夫だったのですが、久々の帰省で両親に会えたことが嬉しかったのかなんなのか、思いやりのかけらもなかったのがとっても残念なんです。だから“今度の帰省はあなた一人でお願いしますね”と言ってやりました」
―シリーズ「年末年始・帰省のトホホ」―
<文/大杉沙樹>
【大杉沙樹】
わんぱく2児の母親というお仕事と、ライターを掛け持ちするアラフォー女子。昨今の情勢でアジアに単身赴任中の夫は帰国できず。家族団欒夢見てがんばってます。