
コカ・コーラ社CM登用と関係か?消えたパレスチナ募金リンク
それは、今年の2月から日本コカ・コーラのミネラルウォーター「い・ろ・は・す」のアンバサダーに起用された後、自身のインスタグラムアカウントのプロフィール欄にあったパレスチナへの募金ができるサイト「arab.org」へのリンクが消えていたこと。昨年、何の予告もコメントもなくURLが掲載された際には、ネットニュースに取り上げられるほど話題になり、好意的な反応を示す人も多くいたのですが……。
コカ・コーラ社は、トルコ議会が親イスラエルだとして国内の飲食店からの排除を決定したこともあり、藤井風の行動と関係しているのではないかとSNSで指摘されているのです。
藤井風はいつも肝心なことにはコメント無し
いまのところ藤井風自身やコカ・コーラ社からのコメントはなく、“CMがきっかけでリンクを外した”という説は憶測に過ぎない状況です。しかし、今回の一件がネット上で広まったことからも、あえて言うならば藤井風についての疑念が改めて噴出したようにも見えます。
パレスチナへ支援を呼びかけたのはただのポーズだったのか? それとも本人の意思に反してやむを得ず取り下げたのか? はたまた、ただ飽きただけなのか?
いずれにせよ、いま日本で一番勢いのあるミュージシャンが態度を一変させた事実は決して小さくないインパクトを与えています。
にもかかわらず、そこには一貫して藤井風自身の言葉が存在していないことが気になります。突然パレスチナ支持を表明するアクションをしたかと思えば、しれっと消してしまう。いずれの際にも、彼の考えが表明された形跡はありません。何も全てのことを説明する必要はありませんが、活動の上で重要な事柄については一言二言あってもいいのではないか。“藤井風がパレスチナ支援を呼びかけている”ことに賛同をしたファンがいたとすれば、それをなぜ撤回したのかを問うことは、決して不当なことではないからです。
ところが、常に肝心なことには口を閉ざしたまま。
振り返ると、藤井風とは、思わせぶりな態度を取り続けてきたように見えます。そもそも藤井風とは何者なのでしょうか?
新興宗教指導者サイババの言葉を説明ナシで引用
まずクローズアップされたのは、インドの新興宗教指導者・サイババへの傾倒ぶりです(『週刊文春』2023年1月19日号「紅白歌手藤井風(25)が“伝道”するサイババの教え」)。
アルバムタイトルからグッズのロゴ、そして歌詞のモチーフと、いたるところに明らかな引用、オマージュ、リスペクトが散りばめられていますが、それに関する本人の明確な態度表明はなされていません。
彼がサイババを信奉するのかどうかがあいまいなままに、一言一句違わぬ形でサイババの言葉がプリントされ、その思想にもとづいた言動が繰り返される。当然、ファンのなかには戸惑う人もいました。引用であるならば出典を明示すべきだし、その出典元がわかっていれば、藤井風に対する感情も違うものになっていただろう。そういうファンの訴えについて、藤井風は、今日まで“タネ明かし”をしていません。
ずっと宙ぶらりんの状態でうやむやに
当然、何を信じようが個人の自由ですが、それをプロのミュージシャンとして作品に引用という形で反映させ、ビジネスを展開し、その世界観に共感する人たちがファンになったのであれば、事情は変わってきます。つまり、藤井風におけるサイババは、食品における原材料のようなものなのですから、そうであれば詳細を明示する必要が出てくるからです。
もっとも、藤井風はシンガーソングライターであり、ミュージシャンなのだから、そこまで求めるのは酷なのではないか、という意見もあるかもしれません。
しかし、藤井風の活動を見ていると、むしろ音楽はオマケであり、音楽を踏み台に思想を流布しているようにしか見えないところがあります。いろんなミュージシャンがそれぞれに宗教を信じていたとしても、ライブ中に特殊な呼吸法を指導したりする人はごく稀(まれ)だからです。
となれば、藤井風のやっていることは音楽というよりも、音楽を通じたセミナー、レクチャーと見るのが自然でしょう。
だからこそ、サイババへの態度を明確にしないことや、パレスチナに対して本当のところどういう思いを抱いているのかを、一度問われるべきなのではないでしょうか?
藤井風自身にとっても、ネガティブな謎は解消すべき厄介(やっかい)事であるはずです。
<文/石黒隆之>
【石黒隆之】
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter: @TakayukiIshigu4


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