F1アメリカGP決勝詳報:キミ・ライコネン、跳ね馬復帰後初勝利。ハミルトン王者決定ならず
晴天に恵まれたサーキット・オブ・ジ・アメリカズ。気温21度、路面温度29度というコンディションでレースがスタートした。
最高の蹴り出しを見せたのはキミ・ライコネン(フェラーリ)。ウルトラソフトタイヤを履いている利点を活かし、ホールショットを奪った。ルイス・ハミルトン(メルセデス)は必死の牽制をしたものの、これを抑えることができなかった。
後方ではフェルナンド・アロンソ(マクラーレン)がランス・ストロール(ウイリアムズ)と接触。アロンソはピットに戻り、そのままレースを諦めた。この一件について、ストロールにドライブスルーペナルティが科せられている。また、ブレーキングでロックしてしまったロマン・グロージャン(ハース)が、シャルル・ルクレール(ザウバー)に追突。ルクレールはスピンすることになり、グロージャンもピットに戻ってレースを諦めた。
その直後には信じられないシーンが起きた。グリッド降格ペナルティを受けて5番手からスタートしたセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)は、早々にダニエル・リカルド(レッドブル)を抜きにかかる。しかし、両者接触。リカルドはそのまま走り続けたものの、ベッテルはスピンし、大きくポジションを落としてしまう。前戦日本GPのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)との一件を思い出させるような、そんな出来事だった。
先頭に立ったライコネンは好ペースで飛ばし、ハミルトンとの差を順調に広げていく。一瞬その差が縮まったこともあったが、好調に走行を続けていく。
9周目、4番手を走っていたリカルドが突如スローダウン。コース脇にマシンを止めた。突如マシンの電源が落ちたような、そんな状況だった。
このマシンを排除するために、バーチャル・セーフティカーが出動。この間に動いたのは、ハミルトンだった。ハミルトンは11周終了時点でピットイン。ソフトタイヤに交換した。彼がコースに復帰したところで、バーチャル・セーフティカーが解除される。
コースに復帰したハミルトンはハイペースで飛ばし、すぐにボッタスを抜いて2番手に浮上。ライコネンとの差を削り取っていく。そして18周目の段階では、ライコネンの真後ろまで接近することとなった。
ハミルトンにプレッシャーをかけられたライコネンは、21周を走りきったところでたまらずピットイン。ソフトタイヤに履き替える。フェルスタッペンは翌周ピットインし、スーパーソフトタイヤ履いた。そのさらに翌周にはボッタスもピットイン。こちらはスーパーソフト→ソフトへと交換した。
コースに戻ったライコネンは、ファステストラップを連発。ハミルトンとの差を縮めていく。その間にベッテルがライコネンに道を譲るシーンもあった。
26周を走りきったところでベッテルがようやくピットイン。ソフトタイヤを履いて5番手でコースに復帰する。
先頭を逃げるハミルトン。しかしレースが折り返しを迎える頃から、リヤタイヤのブリスターに悩まされることになる。そして、ペースが一気にガクリと落ちる。
ライコネンは急速にハミルトンとの差を縮めていく。またベッテルもハイペースで飛ばして前との差を縮める。
ハミルトンのタイヤの状態は酷くなるばかり。そして37周を走り終えた段階でたまらずピットイン。2セット目のソフトタイヤを履いた。これによりハミルトンは、4番手までポジションを落とすことになった。
ただコースに復帰したハミルトンは猛スピードで前を追う。
残り10周となったところで、ライコネン、フェルスタッペン、ハミルトンのトップ3台が、等間隔で並ぶ状況となった。当初は猛ペースで追い上げていたハミルトンも、ここへ来て若干そのペースが衰え始めた。
残り3周というところで、ハミルトンがフェルスタッペンに仕掛ける。しかしフェルスタッペンは必死の防戦で、これを防ぐ。一方、ベッテルはボッタスを攻略し、4番手に浮上する。
そして歓喜の瞬間が訪れた。ライコネンがフェルスタッペン以下の追撃を封じ、見事トップチェッカー。2013年のオーストラリアGP以来、そしてフェラーリ復帰後初の勝利を、このアメリカGPで成し遂げた。
フェルスタッペンが2位、ハミルトンが3位、ベッテルが4位となったため、ハミルトンのドライバーズタイトルが今回決まることはなかった。
トップ3チーム以下最上位の6位は、ルノーのニコ・ヒュルケンベルグ。7位にもチームメイトのカルロス・サインツJr.が入り、ルノーが大量得点を獲得した。フォースインディア勢もダブル入賞を果たした。
トロロッソ・ホンダ勢はレースペースが振るわず、ブレンドン・ハートレー11位、ピエール・ガスリーが14位でのフィニッシュとなった。