11月8日〜10日に開催されたセントラルラリー愛知・岐阜において、最も注目を集めたのが勝田貴元が駆ったヤリスWRCだと言えるだろう。

 その迫力あるドライビングは、2020年のラリージャパンに向けて効果的なPRとなったが、トヨタGAZOOレーシングがWRC最終戦のオーストラリアを前にわざわざヤリスWRCを投入した目的は話題作りだけではない。セントラルラリー愛知・岐阜は2020年のWRCラリージャパンのテストイベント。トヨタ陣営はライバルに先駆けてヤリスWRCのテストを行っていた。

 事実、トヨタ陣営はこの一戦で、11月の日本の路面コンディションを筆頭に、様々なデータを収集できたに違いない。今大会のステージ距離は2020年のラリージャパンの約半分と言われているが、タイヤ選択やサスペンションのセッティングなど、このテストイベントでのデータは少なからず、来季のラリージャパンに活かされるはずだ。

 さらに興味深かったのが同大会に参戦したヤリスWRCには新型のブレーキキャリパーが装着されていたことだ。トヨタGAZOOレーシングでマシン開発を担うトム・ファウラーは「このキャリパーは2020年モデルではなく、将来に向けた開発の一環」と語る。

 つまり、このブレーキキャリパーは2022年のレギュレーション変更に合わせて投入される新型WRカーに向けたプロトタイプ版のパーツと見ていいだろう。

 確かにWRCイベントであればホモロゲーションを取得したパーツを使用しなければならないが、テストイベントのセントラルラリー愛知・岐阜は国際格式大会とは言え、自由度が高くなっていることから、マシンの開発テストにとっては最適な一戦だったに違いない。

 ひょっとしたら、ブレーキキャリパーのほかにも、パーツ単位で新型WRカーに向けたテストが行われていた可能性も否定できないが、いずれにしてもトヨタ陣営にとってこのセントラルラリー愛知・岐阜は多くの成果を得られるイベントとなったはずだ。