メルセデスF1のチーム代表を務めるトト・ウルフは、親会社であるダイムラーの方針は長期的にF1に留まることであると明かし、2020年限りでメルセデスがF1から撤退するのではないかという噂を一蹴した。

 2021年にレギュレーション変更を控えているF1。しかし各チーム、FIA、FOM(F1マネジメント)は、F1の運営や商業的な権利について定める、新たなコンコルド協定をまだ締結できていない。

 こうした背景もあって、6年連続でダブルタイトル獲得を果たしたメルセデスが、2020年限りでF1から撤退してしまうのではないかという噂が一人歩きしている。

 しかしメルセデスは、2月10日(月)に多国籍化学企業INEOSとスポンサー契約を締結したと発表した。契約期間は5年と長期であり、マシンのカラーリングも一部変更されるほど、大きな契約となった。

「我々は、長期的にF1に参戦することを考えてきた」

 ウルフはそう記者会見で語った。

「F1は素晴らしいマーケティングプラットフォームを提供してくれる。それが我々の仕事だ。我々はレーシングカーを作り、そしてロードカーを作るんだ」

「F1はハイブリッド・エンジニアリングにとって重要なプラットフォームだ。V6ハイブリッド時代(2014年〜)の最初からそうなのだが、それが十分に周知されてきたわけではない。我々はもっとそれを重視すべきなのだ」

「同時に、権利関係者との交渉が進められていて、物事を整理する必要がある。しかし今回のパートナーシップは言うまでもなく、成功を収めてきたF1での旅をもっと続けたいという、我々の意志を示している」

 メルセデスの親会社であるダイムラーは、コスト削減の一環としてF1撤退を検討しており、今後の取締役会で決定が行なわれるのではないかと考える報道もあった。だがウルフは、F1における将来について詳細に分析していたことについて、大企業なら普通のことだと一蹴した。

「冬休みの間、F1は常に”素晴らしい”ニュースを提供していた。レース結果やコース上の出来事など全く度外視して、見出しで釣って売り上げを上げているんだ」と、ウルフは皮肉った。

「インターネットに書かれている、デタラメなストーリーを信じてしまう人もいることに私は驚いている。それは完全にナンセンスな話で、次の日にはダイムラーのCEOに否定されるようなモノだった」

「それにすべての活動について展開するのが適切かどうか、疑問視しなくてはいけない。データを調べて、マーケティングプラットフォームとしてのF1が我々にもたらすアドバンテージと利益を理解する。それが、我々がF1を戦う上での根本的な条件だ」

 タイトルスポンサーのペトロナスに加え、新たにINEOSとの大型契約をまとめたメルセデス。2021年からは予算制限が導入されることもあり、F1はダイムラーにとって、より収益性の高い活動になっていくとウルフは主張した。

「それこそまさに、我々の目標だ」

「数字に頭を悩ませるようなことはなくしたい。マーケティング活動は大規模であり、投資に対するリターンはケーキの上のアイス(さらなる喜び)であるべきだ」

「アメリカのプロスポーツリーグを見てみると、NFL(アメフト)やNBA(バスケ)のほとんどが収益性の高いフランチャイズであることが分かる。それが私の個人的な目標であり、そうなるように貢献していく」

 ウルフは、新しいコンコルド協定の交渉がいつ終わるかについて、2021年のシーズンが始まるまでに決着がつくことを望んでいると話した。

「それは進行中のプロセスだ。一連の契約は複雑だし、FIAや商業権保有者、および全チーム間の、三者間契約なんだ」

「”悪魔は細部に宿る”ものだし、時間が必要だ。特定の日付を言いたくはない。合意されるべきトピックがいくつか残っているからね」

「全関係者が、2021年のシーズンが始まる前に交渉を終える意志を持っている。そうでなければ、面倒な状況になってしまうから……」