新型コロナウイルスの影響で各レースの開催延期が続く中、今年のニュルブルクリンク24時間レースに参戦を表明していたTOYOTA GAZOO Racingやスバルなど、日本のチームとドライバーが集まってオンライン・バーチャルレースを開催。“モリゾウ”ことトヨタ自動車の豊田章男社長もサプライズでレースに参加した。

 本来なら5月23日〜24日にかけて開催される予定だったニュルブルクリンク24時間レース。しかし、新型コロナウイルスの影響により9月に延期となってしまった。そんな中、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)とスバルが共同で、PlayStation4用ソフトウェア「グランツーリスモSPORT」を使用してのオンラインでのニュルブルクリンク“バーチャル”レースを企画した。

 レースには実際にニュルブルクリンク24時間レースに参戦予定だったドライバーが集まり、TGRからは石浦宏明、大嶋和也、佐々木雅弘、スバルからは山内英輝と井口卓人が参戦した。さらに昨年のニュル24時間に参戦した日本チームも参加し、KONDO RACINGからは松田次生と高星明誠、Racing Project BANDOHから吉本大樹がエントリーした。レースの模様はTGRとスバルのYouTubeチャンネルで同時にライブ配信された。

 当初は上記の8台のみのレースだったのだが、途中になって今季のスーパーGTを戦う#14 WAKO’S 4CR TGR Supraのカラーリングを施した「Safety Car M」というドライバー名の車両が登場した。

 なんとこれをドライブしていたのは“モリゾウ”ことトヨタの豊田章男社長。実はライブ配信の冒頭でサプライズで電話出演をした際に、飛び入り参加を示唆するコメントをしていたのだが、本当にレース後半になってコース上に姿を現し、視聴していたファンも大盛り上がりとなった。

 モリゾウは昨年から、当人が大きく関わっているROOKIE RACINGの一員としてスーパー耐久に本格参戦。今年は2台体制でのエントリーとなる。さらにニュルブルクリンク24時間レースにも長年の参戦経験があり、昨年もGRスープラのドライバーを務めた。

 今回はバーチャルでニュルブクリンクを走行することになったモリゾウだが、難攻不落な北コース区間でも安定したドライビングを披露した。

 なおトップ争いは最初から最後まで実際の24時間レースでは見られないようなオーバーテイクシーン満載のレースとなり、最終ラップの最終コーナーでの混乱をうまくすり抜けた松田が優勝を飾った。

 初めてのバーチャルレースに参加したモリゾウはライブ配信の中でレースに参加した感想を語った。短い走行時間ではあったものの、満喫した様子だった。

「久しぶりにニュルを走っている感覚になりました。(レース序盤に)映像を見ていた時は、ここまでガチガチになってレースすることは実際にはないので、観ていても楽しいですね。途中から参加しましたけど、とにかく必死でした」

 モリゾウは14年前からトヨタのマスタードライバーだった故 成瀬弘氏とともにニュルブルクリンク24時間レースに挑戦を開始し、今でもレースの際は現地へ足を運んでいる。

 今年は新型コロナウイルスの影響で参戦を見送ることになってしまったTGRだが、改めてニュルは“クルマを鍛え、人を育てる”場所であると語った。

「私にとってニュルは成瀬さんとの師弟関係の始まりなんですよね。ニュルがなければ“もっと良いクルマ作り”もなかったし、トヨタやGAZOOのモータースポーツ参戦の意義もグラついていたのではないかなと思います。ニュルで学んだことで、厳しい道でクルマを鍛え、人を育てていくということを成瀬さんと始めたことが、今はこんな(大きな)活動にもなっています」

 このライブ配信では1万人近い最大同時視聴者数(TGRとスバル両チャンネルの合計)を記録した。モリゾウはこれだけ多くのファンが配信を視聴したことについても触れ、モータースポーツファンに対してこのようなメッセージを贈った。

「(このバーチャルレースを)本当に多くの方に見ていただきました。この時期だからこそ皆で元気を出して、いつか必ずこの危機も終息していくでしょうから、それまで何とか皆で頑張って、この業界を盛り上げていきたいと思います」