F1第8戦イタリアGPの決勝レースがモンツァ・サーキットで行なわれ、アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーがF1初優勝を達成した。

 今季これまで、無観客でレースを実施してきたF1。第9戦トスカーナGPは大幅に人数を制限しながらも観客の入場が許可されることになっているが、今回は新型コロナウイルスに最前線で対処してきた医療関係者が250人招待された。

 薄曇りのモンツァは気温27度、路面温度44度というコンディション。グリッド上位10台はソフトタイヤでスタートとなるが、タイヤ選択が自由なマシンの中ではミディアムタイヤ選択が多数派。ただ11番手のダニール・クビアト(アルファタウリ)、17番手のセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)はハードタイヤでのスタートを選択し、エステバン・オコン(ルノー)とシャルル・ルクレール(フェラーリ)はソフトタイヤを履いてフォーメーションラップに向かった。

 53周のレースがスタートすると、ポールポジションのハミルトンがトップをキープした一方で、2番グリッドのバルテリ・ボッタス(メルセデス)、5番グリッドのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が出遅れポジションダウン。マクラーレンのカルロス・サインツJr.、ランド・ノリスが2番手、3番手に続いた。

 後方ではピエール・ガスリー(アルファタウリ)とアレクサンダー・アルボン(レッドブル)が接触。アルボンがコーナーのイン側をカットし、14番手までポジションを落とした。

 ボッタスは無線でパンクを訴え、6番手までポジションダウン。その後ろにフェルスタッペンが詰まる形となり、2周目のメインストレートでランス・ストロール(レーシングポイント)にオーバーテイクを許してしまった。


 フェルスタッペンは負けじと3周目の第1シケインでストロールのインに飛び込み7番手。パンクを疑ったボッタスだが、内圧は問題なかったようでそのまま走行を続けた。

 17番手のベッテルは6周目にブレーキトラブルでターン1を直進。大事故には至らなかったが、ピットに戻るとそのまま早々にレースを終えた。クラッシュの直前、ブレーキダクト周辺からパーツが脱落しており、左リヤのブレーキからは火が出るシーンも国際映像に捉えられていた。

 ライバルが後方に下がって楽になったハミルトンは、10周を終えてサインツJr.に対して6秒のギャップをつけた。3番手のノリスはサインツJr.から少し離され、後続を抑える展開。

 ボッタス、フェルスタッペンは4番手のセルジオ・ペレス(レーシングポイント)、5番手ダニエル・リカルド(ルノー)を早めに抜いていきたいところだが、DRSトレイン状態となっていることもあり、なかなかオーバーテイクできずに周回を重ねていった。ボッタスはマシンの冷却が厳しく、ラインをずらしてリカルドのスリップストリームからあえて出るシーンも見られた。

 17周目に14番手のルクレールがピットインするなど、徐々にピットストップを消化するマシンが出始めるが、上位陣はトラフィックに巻き込まれるのを避けるためピットインを我慢する展開だ。


 すると、ケビン・マグヌッセン(ハース)が20周目に『何かが壊れた』と訴え、ピットレーン入り口付近にマシンを止めてしまった。これによりセーフティカー(SC)が出動。ハミルトンとアントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)はこれに反応しピットインしたが、マグヌッセンがマシンを止めた場所の関係か、SC出動から11秒後にピットレーンがクローズされてしまっており、他のマシンはピットに入らなかった。

 23周目にピットレーンがオープンとなり、各車が一斉にピットイン。ストロールはピットに入らなかった。ボッタスはこのピットインでリカルドとペレスを逆転することに成功した。

 レース再開は24周目。しかし、ルクレールが最終コーナーのパラボリカで挙動を乱し、高速のままタイヤバリアにクラッシュ。再びセーフティカーが導入されることになった。幸いルクレールに大きな怪我はなく、自力でマシンを降りた。ルクレールのマシン回収とバリア修復に時間がかかると判断され、レースは赤旗中断されることになった。

 この時点で、ハミルトン、ストロール、ガスリー、キミ・ライコネン(アルファロメオ)、ジョビナッツィ、サインツJr.、ノリス、ボッタス、ニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)、リカルドというトップ10。フェルスタッペンは11番手、クビアトは13番手となった。

 しかし、ハミルトンとジョビナッツィには、ピットレーンクローズ中のピットインにより、10秒のストップ&ゴーペナルティが出された。


 約25分の中断の後、各車がタイヤを履き替えてコースへ。追い上げる必要があるハミルトンはハードタイヤを装着。ストロールとガスリーはミディアムタイヤを履いた。

 各車がグリッドにつき、28周目からにスタンディングリスタート。ここでガスリーが好スタートでストロールをオーバーテイク。さらにストロールは第2シケインでオーバーシュートし、5番手まで下がった。後方では、フェルスタッペンが14番手にポジションを落とした。

 ハミルトンは29周目にピットインしペナルティを消化。アルファロメオの2台を従え、ガスリーが首位をひた走ることになった。一方、フェルスタッペンは31周目にピットイン。そのままマシンを降り、開幕戦以来のリタイアを喫することになった。

 ガスリーは2番手ライコネンに対して少しずつギャップを広げ、DRSが使用可能になるまでに3秒ほどのギャップを築いた。ハミルトンは驚異のファステストラップを連発。1周2秒近く速いペースで、集団に追いつこうと猛プッシュした。

 サインツJr.は、34周目にライコネンをオーバーテイクし2番手に浮上。4秒前方のガスリーを追う態勢を整えた。35周目には、ストロールもライコネンを交わし、表彰台圏内にポジションを上げた。


 ライコネンはズルズルとポジションを落としていくが、DRSトレイン状態で全体的には動きが少ない展開。サインツJr.はガスリーを追ってプッシュし、少しずつその差を縮めていった。しかしガスリーも必死にペースを上げ応戦した。

 ハミルトンは38周目に14番手のアルボンに追いつき、40周目にターン1でアルボンがオーバーシュートしたこともあり、オーバーテイク。その後も追い上げ続けたハミルトンは、47周目に10番手まで落ちていたライコネンをパス。入賞圏内に復帰することに成功した。

 セクター1、3で速いサインツJr.に対し、セクター2で差を広げるガスリー。その差は残り10周で2.6秒、残り5周で1.5秒と、少しずつ縮まっていった。

 サインツJr.は完全にガスリーを射程圏内に捉えたものの、DRS圏内になかなか入ることができぬまま、残り周回数が減っていった。

 サインツJr.がガスリーに対して初めてDRSを開いたのは、ファイナルラップのホームストレート。サインツJr.はターン1でしかける素振りを見せたものの、インに飛び込むことはできず。第2シケイン、レズモをトップで抜けたガスリーはアスカリシケイン、パラボリカをミスなく立ち上がった。


 誰も予想できない展開となったレースでトップチェッカーを受けたのは、これがF1初優勝となったガスリー。ホンダがトロロッソと組んでから50戦目となる記念のレースで最高の結果を残した。フランス人のF1ドライバーとしては、1996年のモナコGPで勝利したオリビエ・パニス以来の勝利だ。

 惜しくも届かず、F1初優勝を逃したサインツJr.が2位。赤旗中断が追い風となったストロールが3位。表彰台は非常にフレッシュな顔ぶれとなった。

 4位以下はノリス、ボッタス、リカルド、ハミルトン、オコン、クビアト、ペレスまでがポイント獲得。ノリスはDRSなしでボッタスを抑えきる気迫の走りを見せた。終わってみれば、ハミルトンはボッタスからわずか10秒遅れ。執念の走りで、連続入賞記録を41戦に伸ばした。