昨年、全日本F3選手権でシリーズチャンピオンを獲得し、今年は国内最高峰のスーパーフォーミュラにステップアップを果たしたサッシャ・フェネストラズ。彼が所属するKONDO RACINGを率いる近藤真彦監督は、長期的な視点でトップドライバーに育てていくつもりでいるという。

 フェネストラズは昨年から日本のシリーズへの挑戦を開始し、B-Max Racing with motoparkから参戦した全日本F3選手権ではシーズン8勝を挙げてチャンピオンを獲得。同時にスーパーGTのGT300クラスに近藤監督率いるKONDO RACINGの56号車で参戦し、ルーキーイヤーから何度もトップに食い込む速さをみせていた。

 昨年の早い段階から「スーパーフォーミュラに乗りたい!」と公言していたフェネストラズ。その頃から近藤監督と今季に向けた話を水面下で始めていたという。

「サッシャは昨年、日本に来て1年目なのに、TOM’Sが強いF3の中で序盤はぶっちぎりでした。特にウエットの時の速さをみせていましたね」

「昨年はGT300でうちのチームで乗ってくれていたけど、ずっと(F3での彼の走りが)気になっていました。SFと同時開催なのでF3の様子もずっと追いかけていましたし、シーズンの途中に彼が(F3で)チャンピオンを決める前から、『2020年のSFはうちで乗ろうな』という話は少しずつ始めていました」

「その時は契約も何もしていなくて口約束でしたが、サッシャも『2020年はKONDO RACINGでSFを戦えるならハッピーだ』と前向きでしたし、彼のマネージャーとも話を進めていましたね」

 近藤監督がフェネストラズを初めて知ったのは、2018年のマカオF3。大荒れのレースで3位表彰台を獲得したという実力に惚れ込み、GT300での起用を含め彼に注目を始めた。

 現在もチームに所属する山下健太や、昨年王者に輝いたニック・キャシディと同様にマカオF3での活躍を起用する基準のひとつに考えている近藤監督。若いドライバーを起用してトップレベルに成長させていくことが、今のやりがいのひとつでもあるという。

「これは舘(信秀/TOM’Sチーム監督)さんのアドバイスでもあって、ちょっと前までは僕もマカオに行って、いいドライバーを探すようにしていました。これは昔からTOM’Sがよくやっていたんですけど、うちもちょっと真似をして舘さんに連れていってもらってました。ニック(キャシディ)や(山下)健太を起用した時もそうです。すごく気に入って、うちでスーパーフォーミュラに乗ってもらいました」

「GTの日産で言えば安田裕信とか佐々木大樹、高星明誠もそうです。なんとなく僕が育てるような環境があります。そこはやっぱり舘さんの影響も大きいと思うんですけど、“若いドライバーを引っ張ってきて、速いドライバーに仕上げる”というのが仕事のひとつになっていて、すごくやりがいのあることですね」

 そういう意味では近藤監督が今年力を注いでいるドライバーのひとりがフェネストラズだ。かつてキャシディがKONDO RACINGで成長していったように、今度は長期的にフェネストラズを育てていきたいと語った。

「スーパーフォーミュラは百戦錬磨の選手がたくさんいるので、そう簡単にはいかないと思っています。一発どこかで(結果を)出してくるだろうけど、最初はGT500のようにはうまくいかないかもしれないです。でも彼は普通の選手とはちょっと違う次元にいる選手なので、そこを飛び越えて『やっぱりスゴいドライバーだな!』という風になるかもしれないです。もちろん、ニックの時のように長期で彼のことをみていこうかなと思っています」