11月28日、『TAKUMA KIDS KART CHALLENGE 2020』のオンラインイベントが行なわれた。インディカードライバーの佐藤琢磨は、トークショーやビデオレッスン、ビデオチャットを使った質問コーナーなどを通じてイベントに参加した子どもたちと交流し、アドバイスを行なった。

 佐藤が立ち上げた東日本大震災の復興地応援プロジェクト『With you Japan』の一環として、江崎グリコ株式会社の支援を受けて2014年からスタートした『TAKUMA KIDS KART CHALLENGE』(TKKC)。7年目を迎えた今年は、全国27のサーキットの協力のもと、1143名もの子どもたちがタイムトライアルに参加し、延べ4791回のチャレンジがあったという。

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 TKKCでは例年、各サーキットで上位のタイムを出した100名の子どもたちが鈴鹿サーキットで開催されるファイナル大会に出場。さらに上位10名が特別講習プログラム『TAKUMA KIDS KART CHALLENGE ACADEMY』へ進み、レーシングカートへ挑戦するなど佐藤琢磨の直接指導を受けることができる予定だった。また今年から、アカデミー生がグリコの支援を受けるスカラシップ制度もスタートしている。

 しかし、今年は新型コロナウイルスの影響もあり、残念ながらファイナル大会の中止が決定。その代わりとして、オンラインイベントで子どもたちとの交流を深めることになった。

 今年のTKKCについて佐藤は、「全国でタイムトライアルを始めたのは2018年からなんですが、最初は900人くらい、年間通して2600回くらいのトライアルをやってくれました。今年は、コロナ禍があってスタートが遅れてしまった分、参加者は昨年より少なくなっているんですが、それでも開催サーキットはふたつ増えて、1000人以上の子たちが5000回近くのトライアルをしてくれたのは本当にすごいことだと思っています」と話した。

「僕たちもどうしてもファイナル大会をやりたかったんですが、一番優先しなくてはいけないのはみんなの安全と健康です。苦渋の判断でした」

「こういう状況のなかでも、前進するために学べることがあるということで、今回のオンライン開催を決定しました」

 インディ500に優勝したドライバーに渡されるチャンピオンリングを、2017年と2020年のふたつとも持参した佐藤。今年のインディ500については、彼は次のように語った。

「今年はインディ500のレース開催自体も危ぶまれていました。でも、たくさんの方の支援のおかげで8月に無観客でしたが、開催することができました。でもTVを通じてたくさんの方が観てくださっている。例年、会場には35万人のお客さんが来ます。今年は雰囲気としてはとても寂しかったですが、勝つぞという意気込みでチームスタッフ、ドライバー、関係者一丸となってレースをするという意味では、変わらないくらいの熱気が現地にはありましたね」

 今回のために、TKKC 2017で優勝した濱邊誠己選手と共にフェスティカサーキット栃木で収録した動画を使ってライン取りの解説を行なったり、生徒たちからの意欲的な質問に答え、実践的なアドバイスをした佐藤。画面越しにはなったが、懐かしい生徒たちとの”再開”と彼らの成長に、笑顔を見せていた。

「今年はこのコロナ禍でファイナル大会の開催はできなくなってしまったんですが、みなさんの力で、オンラインでひとつになれたのかなと思います。初めてのオンラインイベントでしたけど、少しでもアドバイスできて、みんなが来年に向けて『また頑張るぞ』と思えたら良かったかなと思います」

 そう佐藤は語った。

「今年みんなが頑張ってきたことっていうのは、必ず次に繋がると思います。僕たちも来年以降、どういう形でこの大会ができるのか、考えていきたいと思うので諦めずにチャレンジして、笑顔を見せてください。今日は参加してくれてありがとうございました」

「今日発表までは出来ないですけど、今年走れなかった子どもたちのために色々な形で最大限トライしていきたいと思っています」

 例年より1ヵ月近く遅い、10月末のシーズン閉幕からテストを行ない、11月に入ってから日本に帰国した佐藤。自主隔離期間を終えた後、様々なイベントをこなしているという。1月の中旬には渡米し来季に向けたテストが始まっていく予定だ。

 そんな佐藤にとって、生徒たちとの交流は何よりの活力になったのではなかろうか。